漫才センスで一目置かれるまんじゅう大帝国が演技でも光るセンスを見せる! マネージャーが監督、事務所が全面協力という前代未聞の映画として話題となった「実りゆく」が遂にDVD発売。主演の竹内、相方の田中、そして監督の八木マネージャーに話を聞きました。

●撮影から今までを振り返って、どのようなお気持ちですか?
竹内:とにかく不安だったことは覚えています。本業のお笑いすらままならない若手芸人がこんなビッグプロジェクトの主役を任されるって。なので、撮影が終わった段階で一度強烈な安堵感があり、取材や舞台挨拶なんかでちゃんと形になったことが実感できてすごくうれしかったんですが、こうしてDVDになって、まだまだうれしいことあるんだなという気持ちです。
田中:当時はしばらく実感が沸かないくらい映画を撮るにしては仲間が多すぎて(笑)。主演は相方ですし、監督はマネージャー、僕のシーンは俳優さんもほとんどいないですし、エキストラで芸人の先輩がいたりして、YouTube撮ってるのかなって。公開されて、お客さんから「よかったよ」とか感想を言われて初めて、本当に世に出てるんだって実感が沸きましたね。DVDも「なるかー」って思ってるところはまだあります(笑)。
八木:「MI-CAN 未完成映画予告編映画大賞」のときはグランプリを獲れなかったので、もうこれで終わりだって諦めた気持ちでしたね。それが、タイタンの社長も含めて多くの方が「せっかくだからやってみる?」って動いてくださって、何もわからないままやり方を掴んでいくというプロセスではあったんですが、周りにまんじゅう大帝国やタイタンの芸人たちなど、なじみのメンバーがいっぱいいたので、振り返ってみると、楽しみながら、相談しながら、すごくいい形で映画を作れたんだなと思いますね。

 

●八木さんは映画監督という夢を持ちながら、なぜタイタンのマネージャーという道を選んだのでしょうか。
八木:小さい頃から映画監督になりたいとは思っていたんですが、同じくらいお笑いが好きで、中でも爆笑問題さんのことが大好きだったので、爆笑さんの近くにいたかったことと、いつか爆笑問題の太田さんが映画を作るときに、近くで何かお手伝いできたらいいなという思いもあって。
――今後はどうされるんですか?
八木:変わらないと思います。マネージャーしながらいろいろ考えて、という感じだと思いますね。僕もどうなるかわからないですけど。
竹内:ちょっとホッとしましたね(笑)。まだまだマネージメントしてもらいたいので。
――次回作は?
八木:準備はしているんですが、すぐにということではないので、ちょっとずつ準備しながらって感じですね。

●八木さんはなぜまんじゅう大帝国を映画に起用したのでしょうか。
八木:単純に僕がマネージャーとして見ておもしろいなと思っていたのが一番で、すごく魅力的ですし、なんとかしてこの2人が持っているネタ以外の魅力みたいなものが表現できないかなと思っていて。楽屋で和気あいあいとしゃべってる表情やネタを練習しているときの緊張感とか、そういう姿すらも魅力的だったのでお願いしました。

●竹内さんは映画の主役を演じてみていかがでしたか。
竹内:僕の演じた実(みのる)という役は吃音の青年だったので、吃音を扱っている映画を教えてもらったり、実際にお会いしたり、監督と一緒に勉強をしてイメージを固めていきましたね。本番では、まずやってみて、「もうちょっと言葉が出ないはず」とか指示をもらって、一つ一つ細かく詰めていく感じでした。漫才のシーンに関してはいつも通りというか、相方が僕のやりやすいように仕上げてくれて。なので僕は皆さんにアシストしてもらっただけで、気持ちよくやらせていただという形ですね。
――田中さんは竹内さんの演技を見ていかがでしたか。
田中:うまいなと思いましたね。違う人にちゃんと見えました。漫才はどのネタでも同じしゃべりですから、そんなことできるんだ、これはおもしろくなるぞと思いましたね。

 

●田中さんは映画に出演してみていかがでしたか。
田中:自分とまったく性格が違って、すごく怒る役だったので、監督の言うことを聞いて、恐らくこういう人なんだろうなって自分の中で勝手に作って、それを真似するみたいな感じでした。
竹内:見たことのない一面でした。怒っているところを見たことがなかったので、「怖っ!」って。普段ほんとに怒らないんですよ。大声すら出さないですから。
田中:困ったのが、役名の“エーマ”が本名の“永真(えいま)”そのままで、監督から「エーマはこういうとき怒るんですけど」って言われても、俺は怒らないけどなあ、俺は今誰なんでしょう、って(笑)。役名が本名って、てっきり僕のキャラを入れてくれてるのかなと思ったんですけど全然違ったので、これは本気でなぜなのか聞きたいです。
八木:単純に永真っていう名前が素敵だなって(笑)。
田中:うれしいですけど。親も喜びます。でもキャラだけ怖いんですよ。
八木:もしかしたら実(みのる)もこうなってたかもしれないっていう側面を描きたくて。単身夢を追って東京に出てきたら、実(みのる)ほどマイルドでいられるとは思えないので、たくましく周りと戦いながら生きていくちょっと狂暴な、そういうキャラになりましたね。
田中:ほんとにそういう人だと思われるときがあるんですよ。でも演じているときは監督から「まだまだもっと」「弱い弱い」って言われて、自分が思ってるよりもすごく大げさにやったので、難しいなと思いましたね。それこそ、監督がマネージャーじゃなかったら委縮してできなかったくらいNGも重ねましたし、貴重な経験でした。

●主役のモデルは松尾アトム前派出所さんですが、どのようなお話しをされましたか。
八木:「松尾さんの人生をベースに映画を撮りたい」って言ったら、松尾さんは全然ピンと来てなくて「フーン」「どうぞ」みたいな感じでした(笑)。それが、いざ映画を撮るとなると実感が沸いてきたようで、色々と助けてもらいました。やはり松尾さんはりんご農家ですから、りんごをどう描くかという点は繊細に考えてくれて、いろんな年代のりんご農家さんに取材に行かせてくれたり、年間のりんごの作業を教えてくれたり、脚本作りの段階からすごく助けてもらいましたね。
――松尾さんの出演は?
八木:じつはポスターで出てきてます。
竹内:ほんとは出る予定もあったんですけど。いろんな都合でキュッキュッキュとなって、最後は紙になっちゃいましたね(笑)。

●竹内さんは松尾さんとはどのような思い出がありますか。
竹内:撮影前に研修として4日間くらい松尾さんの農園で働かせてもらいました。その間、松尾さんをずっと見て、どういう感じで農園に向かうのかとか、けだるそうに籠を運んでいる姿とかをこっそり見てましたね。僕の役どころについて松尾さん最初は「俺だ俺だ」って言ってたんですけど、「よく見たら俺じゃねーな、好きにやってくれ」って(笑)。僕としては楽になりましたけど、でもやっぱりこの映画は松尾さんの映画ですし、松尾さんの人間力が生んだ映画だなと。撮影中にも、松尾さんがふっと撮影現場に現れると、その場をすごく楽しい雰囲気にしてくれて、キャストさんもスタッフさんも盛り上げて、あとは竹内やれ、みたいな(笑)。見た目はヘコヘコしてるんですけど、なんてすごい人なんだって憧れましたね。

 

●芸人以外のキャストさんとはどのような話をされましたか。
竹内:ずっと変な感じでしたね。テレビで見る人が目の前にいるなあ、と。その人と一緒に練習して「次どこだっけ」「あ、農園です」みたいな何気ない会話をするのが、なんかもうどこかずっとおもしろくて、ありがたいなと思いました。
――父親役の田中要次さんはいかがでしたか。
竹内:引っ張ってくれるというか、僕がやってる姿を見て田中さんが合わせてくれるというか、言葉にできてない感覚なんですけど、一緒にやってると自分もうまくなってる気がするんですよね。意外と緊張はなくて、「セリフどうやって覚えてますか」って聞いたら、「全然覚えらんないんだよね」っておっしゃってくれて、そういうところでリラックスさせてもらいました。あと、これは僕が漠然と思っただけなんですが、楽屋で2人きりでお弁当食べる時間があったんですが、2人とも左利きだったんです。向かい合わせで黙々と左手で弁当を食べてる2人が、「親子っぽいな」って(笑)

――友人役の三浦貴大とはいかがですか。
竹内:三浦さんはほんとに気さくにたくさん話しかけて下さったんです。三浦さんの大学時代の話とか、どうやって役者になったのかとか、ご両親の話も。川で深刻なシーンを撮る合間なんかは2人ですごく気の抜けた会話をしてました(笑)。じつはこの映画の撮影後に、ドラマでも共演したんです。僕が銀座のバーのバーテンダー役で、三浦さんがビシッと決めてお店に来るというシーンだったんですが、その合間には、「この間は農家だったのにね」って(笑)。りんご農園から銀座のバーって、2人で笑っちゃってました。こういう再会ができるのは本当にうれしいですね。

●田中さんは相方と芝居をするというのはどのような気持ちでしたか。
田中:あんまり細かいことを話さないようにしてました。話してしまうと、演技やってるなって恥ずかしくなっちゃう気がして。なのでお互い監督に「ここはこうですか」とか聞いてましたね。
八木:わりと2人とも僕に聞いて来てくれていたので、そういうことなのかなって思いましたけど。
竹内:察してもらって(笑)
八木:2人はピン芸人同士という特殊な設定なので、普段の関係性と微妙に違うというところが色々とやりづらかったと思いますけど、その分話し合って一緒に作っていった感じはしましたね。

 

●タイタンの方がたくさん出演されているのもこの映画の見どころですね。
竹内:先輩芸人も本来は緊張する相手なんですけど、これだけの規模になってしまうと、どうしても仲間って感覚になって、現場にいてくださるとほんとに安心しました。日本エレキテル連合さんがすごく優しく褒めて下さるんですよ、「上手だねえ」って(笑)。毎回毎回褒めていただいてやる気になれました。
八木:皆さんすごくうまいんですよね。エレキテルなんかも自分で作り込んで来てくれて、思わぬ設定でどんどん遊んでくれたり。すごく助けられました。やっぱりほかの映画と違うのは、僕がマネージャーで竹内君が事務所の芸人で、稽古をたくさんできたなと。まんじゅうとエレキテルと一緒に集まって稽古をしたりもできましたし、いろんな意味で準備がちゃんとできました。爆笑問題さんのラジオのシーンなんかは逆にどうなるかわからなかったんですが(笑)、結構2人ともアドリブを入れて下さって、ラジオの空気がリアルに出たと思いますし、皆さんのおかげでいいものになったって感じですね。

●まんじゅう大帝国お2人の漫才シーンも見どころですね。
田中:漫才は松尾さんの漫談がベースになっていて、それを僕が漫才にしたんですが、あのシーン前だけは2人で壁に向かってネタ合わせみたいに練習しましたね。上手にできたというか、あそこだけは演技のようで演技じゃないところかなと。
八木:やっぱりステージに立ってる姿っていうのは一番カッコイイと思うので、“1人じゃ無理なことも2人でなら”という意味も込めて盛り込んでいる大好きなシーンですね。ただ撮影日が80カットくらい撮らなきゃいけない日で、感動してる暇がなくて(笑)。
竹内:壮絶山場でしたもんね。僕も、あのシーンばかりは本業なので、一生懸命に演技をやってきて、本業がつまらないとすべてがダメになってしまうから、今できる一番いい形を、と思ってがんばりました。あと本当にミスしちゃいけないスケジュールだったので(笑)。

●周囲の芸人さんたちの反応はいかがですか。
竹内:「見たよ!」のテンションじゃなくて、「……見た」っていう深みが(笑)。お笑いとは温度が違いましたね。みんな褒めてくれたんですが、驚いてたというか「あんなのできるのお前ら」って、僕らは漫才なのでお芝居する姿にビックリされました。
田中:僕がよく言われるのは、「お前めっちゃ出てない?」「まんじゅう大帝国2人の映画じゃん」って。いかんせんポスターで僕すごく小さいんですよ。なので、相方が主役ってことでイジられるんですけど、「いや、イジるのは見てからにしてください」ってすごく言いました。

●コメントの顔ぶれもすごいですね。
田中:そうなんです。最初はマネージャーの“映画を撮りたい”という夢のお手伝いをしてるつもりだったんですけど、いつの間にか僕らがこれを背負ってる感じになってて。神田伯山先生の「まんじゅう大帝国が売れた時に、この映画は本当の意味で完成する」っていうコメント見たときは、正直「やっべー!」って、売れないと(笑)。
竹内:うん。これはえらいことになったぞ、と。伯山先生が僕らのことを芸人として見てくれてのコメントというところはうれしかったです。背筋が伸びる思いですね。
八木:僕はここからもう壮大な恩返しをしていかないと。本当にがんばっていかないといけないです。
まんじゅう大帝国:あははははは!

●最後にメッセージをお願いします。
田中:まんじゅう大帝国が出てるとは思えないくらいいい映画なので、僕らを知ってるとか知らないとか一旦置いといて、いい映画なのでぜひ見てほしいです。マジで騙されたと思って見て下さい。がんばりましたので、ぜひお願いします。
竹内:本当に自信作です。渾身の一作なのでめちゃくちゃ見てもらいたいですし、楽しんでもらえる自信があるので、コロナの中、劇場には足を運べなかった方もこのDVDで日本中の人に見てもらえたらなと思います。
八木:お笑い芸人をテーマに夢を実らせるという物語なんですが、お笑い好きな方が楽しんでいただける小ネタがふんだんに入っているのはもちろんのこと、お笑い好きではない方も、そして田舎から夢を追って東京に出てきた人もそうでない人も、どの年代どの世代の方でも楽しんでいただける内容になっているので、ぜひ自分の近くに置いていただいて、りんごが実る秋には毎年見るくらい、そのくらい好きになってもらえるとうれしいなと思っています。ぜひご覧ください。

『実りゆく』

2020年に全国の映画館で公開された、長野県のりんご農家を舞台に描く父と子の物語。監督はタイタンのマネージャー、主演は漫才師“まんじゅう大帝国”の竹内が務める映画『実りゆく』が待望のDVD化!!

第63回(2020年度)ブルーリボン賞 作品賞ノミネート

 

長野県のりんご農家を舞台に、お笑い芸人を目指す青春物語
それは、1本の予告編から始まった…

 

「MI-CAN 未完成映画予告編映画大賞」受賞作品を映画化!
堤幸彦監督や大根仁監督を擁するオフィスクレッシェンドが主催する「MI-CAN 未完成映画予告編映画大賞」は、未だ存在しない映画の予告編だけを制作し、グランプリ受賞者には映画化の権利が与えられるという企画。第3回大会(2018年)に出品した「実りゆく長野」は、芸能事務所タイタンのマネージャー八木順一朗が企画・監督し、若手漫才コンビ“まんじゅう大帝国”竹内一希が主演を務める異色作品だった。惜しくもグランプリを逃したものの、予告編は“堤幸彦賞”と“MI-CAN男優賞”を見事受賞。その後、同監督・主演で本作の映画化が進行する異色のサクセスストーリーを辿った。

タイタン所属芸人&実力派キャストが織りなす、可笑しくも深みのある人間模様!
主役のお笑い芸人を目指す青年に“まんじゅう大帝国”竹内一希、おなじくお笑い芸人を目指す友人役で相方の田中永真、“日本エレキテル連合”の橋本小雪が主要キャストで出演し、相方の中野聡子、本作のモデルとなった松尾アトム前派出所、「M-1グランプリ2020」ファイナリストの”ウェストランド”に、“爆笑問題”も本人役で出演するなど、タイタンオールスターキャスト勢揃いとなっている。脇を固めるのは、主人公の父親役の田中要次を始め、三浦貴大、小野真弓、山本學など日本映画界を代表する俳優陣も集結。硬軟入れ混じったキャスト陣が魅せる、可笑しくも深みある人間模様に目を離さずにいられない。
さらに、主題歌は舞台となった長野県下伊那郡出身の男女二人組ロックユニットのGLIM SPANKYが主題歌を手掛けた。

  • 品番:SSBX-2690
  • 価格:¥4,180(税込)
  • 発売日:2021年4月28日(水)
  • 発売元:㈱彩プロ 
  • 販売元:Contents League/ソニー・ミュージックソリューションズ
  • 提供:© 「実りゆく」製作委員会
  • 収録時間:本編78分+特典映像28分

収録内容

【あらすじ】
長野県のりんご農家の後取りとして生まれた実(みのる)。
母親の死後、父親と2人で農園を切り盛りする実は、週末になると東京へ通い、お笑いライブに出演していた。
父親の願いとりんごに背き、夢に突き進む実には、「母親の死後、笑わなくなった父親を笑顔にしたい」という内に秘めた想いがあった。
やがて訪れる運命の日。
人生をかけたステージで、実は夢を実らせることができるのか?

 

 

【出演】

竹内一希(まんじゅう大帝国) 田中要次

田中永真(まんじゅう大帝国) 橋本小雪(日本エレキテル連合) 鉢嶺杏奈

島田秀平 小野真弓 三浦貴大

爆笑問題(特別出演)

山本學

 

【スタッフ】

監督・脚本 八木順一朗

 

エグゼクティブプロデューサー:太田光代 プロデューサー:佐藤満 ラインプロデューサー:今関直哉 音楽:榊原大 監督補:山口義高 撮影:伊丸岡創 照明:藤井聡史 録音:齋藤泰陽

助監督:山下久義 美術:遠藤雄一郎 へアメイク:中田愛美 スタイリスト:高田彰久 松川町コーディネーター:松尾寿司

制作プロダクション:株式会社geek sight 協賛:長野県下伊那郡松川町、JA長野県、株式会社モデスト 後援:長野県、長野市、豊丘村、信濃毎日新聞社、SBC信越放送、abn長野朝日放送 配給:彩プロ 宣伝:とこしえ 2020年 ©「実りゆく」製作委員会

 

【DVD特典映像】
■メイキング特番(約28分)
■劇場版予告編2種(ロング、ショート)

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