「女芸人No.1決定戦 THE W 2020」で優勝をつかんだ芸歴6年目の女ピン芸人・吉住。彼女の世界観がたっぷり詰まったファーストDVDの完成です! 一度見たらクセになる独特なネタはどうやってここまで仕上がったのか。せっかくなので、ぜひインタビューと共にご覧ください。

●2020年は「THE W」優勝など環境が劇的に変化しましたが、2021年はどのように過ごしてますか?
慣れない仕事で悩むことも多いんですが、いろんな仕事と向き合いつつ、ネタもちゃんと考える時間があるので、気持ち的には落ち着いてるかもしれません。そういう意味では、「R-1グランプリ2021」の決勝に行けたことが、自分の中でもまたもう1個、自信になったところはあるかもしれないですね。

●初DVDの発売が決まったときの感想は?
「やったー!」って(笑)。今まで、東京03さん、バカリズムさん、バナナマンさんとか、いろんなDVDを見てきたので、「自分が出せるなんて」「あーうれしい」って。芸歴1、2年目のころ、目標ノートみたいなものを書いてたんです。その中に、いずれDVDを出したいって書いていたので、本当にありがたいですね。賞レースって夢あるなって思いました。

●どういうDVDにしようと考えたんですか?
自分で言うのもなんですが、世界観のあるコントをさせてもらってるところがありまして。その世界観をそのまま直で見ていただけるようにしたいなと。なので、セットについては東京03さんのライブを担当されている舞台監督さんとお話しさせていただいて、自分のイメージに合うものを作っていただいたり、照明、音、カメラの配置、音声の録り方とか、すべてにプロの技術が詰まっていて、一番いい状態でネタを見てもらえる作品になったと思います。すごくうれしいです。

●自分の世界観をスタッフさんたちに伝える作業は順調にいきましたか?
私は今までほぼ何もない舞台でやっていたので、「カッコイやつにはしたいんです」とか、そのくらいしか言えないんですが、「じゃあこういうのどうですか」ってどんどん提案してきてくださって。みなさんが私のネタからイメージを具現化させてくださったというか、「私ってこういう風に見えてるんだ」って改めて気づくこともありましたし、全体的に魅力的な作品に仕上げて下さいました。優勝するとこんなに大人が動いてくれるんですね(笑)。

●タイトルはどのように決めましたか?
考える時間があまりなかった時期だったので、皆さんで集まって会議をしたときに、「やっぱりタイトル変えてもいいですか」って言ったんですよ。そしたら皆さん「あのタイトルいいと思いますよ」って言ってくださって。「みんなが言うならいいや」って(笑)。実はもうちょっとオドロオドロシイ感じにしたほうがいいのかなって思ってたんですけど、『せっかくだもの。』は、お上品な感じもあっていいかなと。皆さんにいいって言ってもらえたら一気に自信が出て、すごくいいタイトルだなって思えました。

●収録するネタの順番はどうやって決めましたか?
結構迷いましたね。音を使うネタが多いので、バランスを考えたり。最終的にこの9つになったんですけど、順番的に、後期、初期、中期3本ずつの計9本になっています。「動物のはなし」「思い立ったが吉日」「女審判」が後期、「依存症」「アイプチ」「たっちゃん」が初期、「許されざる恋」「祠」「時をかける女」が中期です。順番は初期、中期、後期にしようかと思ったんですが、初期にトゲトゲしいネタが多くて。「THE W」で知って買ってくださった方にとって、いきなり流れてきたネタが「依存症」だったら嫌だろうなと(笑)。知ってるネタで安心していただいて、こういう歴史をたどってきたんだ、という感じで見てもらえたら。

●初期のネタはどのように選びましたか?
「依存症」は元々コンビでやってたネタをピンネタに変えたんですが、このネタができたとき、「なんか見えたかも」って思えて。自分なりのネタの書き方のコツというかイメージが掴めたネタなので入れました。「アイプチ」は、『新しい波24』(フジテレビ系)に出させていただくきっかけとなったネタです。番組の担当ディレクターさんがこれを見て「すごくいい」って思ってくださったネタなので、外せないかなと。
この頃は、ちょっと人と違うことをしなければいけないと思っていて、ライブでも、巨匠(現在は解散)さん、リンゴスターさん(現在は解散)、真空ジェシカさん、リニアさんとか、錚々たる面子がいる中で、1、2年目の自分はやっぱりアンケートに名前を書かれないんですよね。アンケートの「一番おもしろかった」の欄になんとか名前を書いてもらいたいと思っていたので、このときのネタはインパクトしか考えてないです。

●中期のネタは初期からどのように変化しましたか?
初期はどちらかというと外に向かって投げかけていて、私が「それおかしいだろ」ってツッコむ側なんですが、強すぎるというか、笑ってもらいたくて作ってるのに、人に嫌な思いをさせたり傷つけてしまうのは違うなと思って。じゃあ自分が変な人を演じて、周りが「あの人は何をやってるんだろう」って思うような、そっちのお笑いのほうが私は好きだな、と。
「たっちゃん」は初期のくくりにしてますが、まさにそう考え始めたときのネタです。「許されざる恋」は、選挙ポスターの「無所属」って言葉がなんかおもしろいなと。単語とか間違ってないかなって調べながら作りました。
「祠」は、第1回の単独でおろしたネタですが、それまで現実的なネタが多かったので、ファンタジーなネタを作りたいな、と。「時をかける女」は、やってて楽しいネタです。正体がバレたあとに少年たちを見る目とかすごく楽しいんですよ。すごく怯えてたりするんだろうなって想像したりして、狂気ですよね(笑)。

●後期はその集大成という感じでしょうか?
それが、まったく後期は掴めてなくて。逆に、全部自信がないネタだったんです。もはやどう作っていいかわからないというか。私は煮詰めたようなネタが好きなのか、個人的な趣味で言うと「このネタこんなウケるんだ」くらいの感じの感覚だったんですよね。だから「思い立ったが吉日」「女審判」に関しては、もう自分の感覚を信用しないようにしようと思いました(笑)。なので、この時期のネタが評価されたことは「このネタができてよかった! ラッキー!」って感じです。

●最後にメッセージをお願いします。
初期、中期、後期と分かれているので、なんとかテレビに出ようとする若手芸人がポップになろうと努力した歩みやもがきが見られます。それを楽しんでいただきつつ、この世界観を好きだと思っていただけた方には、もっとドロドロした、煮詰めたネタをライブで楽しんでいただきたいなと。
皆さんにも「あ、こんな人いたんだ」「見つけてよかった」という出会いがあると思うんですが、誰かの「出会えてよかった」作品になればいいなと思っています。

『せっかくだもの。』

2020年に女芸人No,1となった吉住のベストネタ初DVD

『女芸人No.1決定戦 THE W 2020』で優勝つかんだネタ「思い立ったが吉日」「女審判」、『R-1グランプリ2021』 決勝で披露した「祠」(完全版)を含むベストネタコント集。
特典映像には、その2ネタの初披露ライブでの映像を収録。
作家 ポテンシャル聡、同期芸人 鈴木コウジロウとの全編副音声コメンタリー付き。

  • 品番:SSBX-2689
  • 価格:¥3,300(税込)
  • 発売日:2021年3月31日
  • 発売元:Contents League
  • 販売元:ソニー・ミュージックソリューションズ
  • 収録時間:本編37分+ 特典映像10分

収録内容

【本編】
■動物のはなし
■思い立ったが吉日
■女審判
■依存症
■アイプチ
■たっちゃん
■許されざる恋
■祠
■時をかける女

 

【特典映像】
■思い立ったが吉日 初披露ver.
■女審判 初披露ver.

 

【音声特典】
吉住・ポテンシャル聡・鈴木コウジロウの副音声コメンタリー

 

※本作の配信(ダウンロード・レンタル)には特典映像・音声特典は収録されておりません。

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