テレビで大活躍のアンガールズが、7年ぶりに単独ライブを敢行! もともとネタには定評があった2人が、“キモカワキャラ”から“キモキャラ”へ世間の見方が変わる中、その空気を強みに変えて、今一番笑えるアンガールズのコントをたくさん完成させました。田中、山根、それぞれの変化や成長を感じる“ライブの裏側”インタビュー、ぜひご覧ください。

 

 
●7年ぶりに単独ライブを開催したきっかけは?
田中卓志(以下、田中):長いことやってないので「そろそろやりたいな」と思ってたんですけど、『田中が考え中』という舞台もやっていたので、あっちもこっちもできなくて。そしたらこの春に、うちの会社で『下北沢WEエンタメフェス2016』というライブシリーズをやるということで、その中で「単独やらない?」と言っていただいたので、いいなと。
 
●タイトルの由来は?
田中:ほんとによくバラエティ番組でゴミクズみたいな扱いになるんですよ我々(笑)。もちろん番組的に面白いから、僕も率先してやってるんですけど。ただ、「僕がなんでこんなに『キモい』って言われなきゃいけないんだろう」っていう思いもあって、あるとき「うっせーな!」って反撃したら、さらに盛り上がったんです。「攻められてるこっち側にも意見があるんだ」ってことが、「これは1つの笑いの要素だな」って気付いて、それで『ゴミにも息づく生命がある』と。残飯とかそういうものにも微生物とか生きてるじゃないですか。“一方的に言われてる人たちの意見を組み上げよう”みたいな、そういうネタがいっぱい書けたらなと思ってこういうタイトルにしました。
山根良顕(以下、山根):そのタイトル聞いたとき、「自分を卑下してるな」って思いました(笑)。まあ、お笑いですから、下に見てもらったほうがありがたといえば、ありがたいんですけどね。確かに、あんまり実生活で立場がよくないような方にも、楽しんで見てもらえるんじゃないかなとは思いましたね。
 
●これまでの単独と変わりましたか?
田中:そうですね。バラエティでは“気持ち悪いキャラ”という立ち位置にもなってきてるし、そういうのもネタにどんどん盛り込んでいきたいなと。これまでは「ネタはネタ」という感じで「世界を作ろう」って思ってたんですけど、お客さんが笑いやすいものって、テレビのキャラクターに近かったりするから、それを完全に無視しなくてもいいかなっていう考えになってきました。テレビに出てるときは“ワァー!”ってやってるのに、ネタやるときは“スッ”ってするような、なんかそれももういいかなって。あと、『田中が考え中』は長いコントなので、いろんなキャラクターを登場させて、それぞれの感情を組み上げていかなきゃいけないんですが、今回のライブでそれが活きて、それぞれのキャラの考えが出てきましたね。それぞれにも言い分があるんだけど、どうしようもできないような状況になっていくっていうコントが多いです。
山根:そうですね。2人でやるコントしか書いてなかったときより、いろんな登場人物の感情を考えてますね。昔から考えるほうではあったんですが、今はより複雑なことを考えてるなあと。昔のほうが作りやすいというか、形に落とし込みやすいコントだったんですけど、今は色々なパターンが手の内にあるようになったのかな。技の数が増えたんだと思います。いろんな人と集団でやってることがコンビに帰ってきてよかったですね。ずっと一緒にやってなかったのがよかったのかもしれないです。ずっと一緒にやってたら、ずっと一緒にやってた分の変化はあったかもしれないですけど、ほかの人のコントを作ることで今みたいな変化があったんでしょうね。
 
●ネタ合わせや稽古でも変化はありましたか?
田中:やり方としては、とりあえず僕がネタをバーッと出して、みんなに渡すんです。そのあと合わせながら肉付けして。
山根:「ここにこういう流れ入れたらいいんじゃない?」とか「それは考えたけど、違うんじゃないか」とか話しあったり。
田中:『田中が考え中』って自分の台本に沿って人が演じるのを客観的に見るんですよ。そうすると、「ああ、こういう風にやってもらったらもっとおもしろくなるんだ」っていうことがわかって、山根にいろいろ説明できるようになりましたね。山根は山根の1つのパターンだけで見てきたんですけど、「もうちょっとこう」とか「これだったら山根はこう言えるだろう」とか、前より説明するようになったし、できるようになりました。
山根:そうですね、昔より少しは(笑)。
田中:山根はわりと感情が少ないような気がして、「ここはこのくらい落ち込んで言ってくれ」とか「このくらい上げて喜んでくれ」とかすごく細かく説明しました。けど、なんかもう申し訳ないんですよ。山根は家庭があって、も~子育てで忙しいから~。「ここどう思う?」みたいなメールを送っても、ちょろちょろっとしか返事が来ないから~。
 
●そんな山根さんがやってて一番楽しかったキャラは?
山根:キャラクター的には、バラエティショップの店員さんですね。セリフは決まってるんですけど、どちらかといえば企画的というか、コントなんだけど、コントじゃないような。2人で遊んでることがネタになってるので、やってて一番楽しかったです。
田中:このコントは、僕がバラエティ番組に出たときのもどかしさから思いついたんです。番組で、芸人さんのメガネが吹っ飛んだときに「もっと踏んづけたり、バキッと割ったら面白いのにな」と思うんですけど、だいたいメガネが、6~7万くらいするやつなんですよ。「割ったら困る」ってを何回もカンニング竹山さんやドランクドラゴンの鈴木さんに言われるんですけど、「あーもうちょっとほんとは壊したいな」って。だから、「テレビに出るときは100円くらいのメガネしてくれないかな」とか、そのもどかしさを芸人はどこで解消してるんだろうって考えて、そういう店がどこかにあればいいし、あるんじゃないかなって想像で作りました。自分で実際やってみると、ほんとに気持ちいいんですよ、メガネへし折ったりするの(笑)。
山根:僕はメガネを壊したいとか、そういうのないですねえ。
田中:山根がそう言うから、これ「あんまりウケないんじゃないかな」と思ったんですよ。こんな感情になるの僕だけなんじゃないかなと。でもやってみたら結構ウケて。わかってもらえたのかなってうれしかったですね。
 
●逆に、役作りが難しかったキャラは?
山根:最初のコントですかね。とんでもないキャラが出てきて、僕が舞台上で待たないといけない時間があるんですよね。ただ待ってる。それを画面全体で見ると“立ってる人”になるんですけど、コントの画面になると、僕のキャラも何かを考えているわけですよ。真剣なんですけど、台本のセリフはない。ないけど、「これじゃあ俺、今どう思ってんのか」って、昔より考えるようになりましたね。いろんな人のコント見ると、うまい人がいるわけですよ、やっぱり。東京03さんとか見てると、3人ともセリフがないところでうまかったり。
田中:山根に聞かれましたね、「どうすればいい?」って。あそこは僕の独演みたいなコーナーになっちゃうから、「1回待っといてくれ」と。ほんとは、“途中で山根にガッと来てもらって1回冷める”っていう流れだったんですけど、僕の熱は高いまんまのほがいいってことになって、後半ほとんど山根が立ちっぱなしになりました(笑)。
 
●「レンタル彼女」は山根さんが女性の役でしたがいかがでしたか?
山根:一応、女の人っぽくやったんですが(笑)。とにかく展開が難しかったですね。変な人なんだけど、どれくらい変な人だったらいいのかとか。
田中:山根はおばさんみたいな顔してるし、足も細いし、女性役をやったら単純に面白いかなっていうのも、もちろんあったんですけど、これはもう完成まで、ものすごく二転三転してます。最初ぐちゃぐちゃな感じだったんですよ。同僚である山根の横領の事実を握った俺が、山根に俺の好きな通りの女装をさせるみたいなコントだったんですけど、もうややこしくて! こんなのもう誰も付いて来れないから、もっと楽に見てもらえるようにしないといけないと思って、その設定はごっそり外してようやく完成したんです。
 
●「悪霊退散」では2人がとても密着していますが、やってるときのお気持ちは?
田中:これは、“同じズボンの中でくっついて動きづらい”っていうのが、たまたま“憑依する”って感覚に近いんじゃないかっていうことから、ネタになっていて。俺はやってて楽しいんですけど、稽古のとき、2人で同じズボンに入らなきゃいけないのに、山根がジーパンを履いてやるんですよ。
山根:肌と肌が触れ合うの気持ち悪いじゃないですか(笑)。
田中:いやそりゃそうなんですけど! もちろん俺だって嫌なんですよ! でもやっぱり、本番でスムーズに服に入れるかとかも確認しなきゃいけないですから。なのにジーパン履いてるから、もうゴッソゴッソして入れないんですよ。
山根:嫌だという意思表示ですよ。
田中:嫌なのは俺も一緒だからあ……。で、俺、注意したんですよ、「ズボン脱いでくれ」って。変態ですよね。男が男に「ズボン脱いでくれ」って。
山根:すごい積極的で。
田中:積極的ととられてもしょうがないんですけど、それは俺に言われなくても、自然にそうしといてほしかった! 言うほうが一番恥ずかしいんですからね、これ!
 
●そして『田中が考え中 ミニバージョン』に初めて相方である山根さんが参加しましたが、どういう役回りを考えてたんですか?
田中:(ドランクドラゴン)鈴木さんと(鬼ヶ島・アイアム)野田くんという、とんでもない出来損ない芸人がいるので、鳥居(みゆき)さんにはまともな役をやってもらって、(ブルーリバー)川原は、普段ボケなんですけど、相方の青木が急遽出られなくなってツッコミを。なので、山根には、その人たちの間に入ってもらう役どころをお願いしました。
 
●山根さんは、初めての『田中が考え中』の空気はいかがでしたか?
山根:「あーよくやってたなあ」って思いました。(鈴木)拓さんと野田さんの覚えの悪さとかを見て、「よくこれで劇団を運営してたな」という感想ですね。これまで何回か舞台を観てきて、「ちゃんとやってんだ」って思ってたんですけど、実際に自分が中に入ると、拓さんにどうやってネタを覚えさせるかとか、真剣にやってる野田くんが大事なときに全然セリフ出てこなくなったりとか、「この劇団の主催者大変なんだなあ」って感じました。
田中:そうなんですよねえ……。
山根:基本はこの2人にかかりきりになるから、自分が手をわずらわせられないので、僕はセリフをしっかり覚えようと思ったというか、普段通りにやるだけなんですけど。
田中:だから山根に言ったのは、「鈴木さんと野田くんがどうなるかわかんないけど、俺は舞台上にあんまりいないから、もし何か起こった場合、山根が鈴木さんと野田くんを本編に戻せるように動いてくれ」と。
山根:大変な役回りっていうか、ネタの流れをみてればなんとなくできるんですけどね。
田中:ただそれ以上にもう、今回鈴木さんが、全くと言っていいくらいセリフが入ってなかったから。よくそんな状態で舞台に出れるなって、グジャグジャなんですよ! 『田中が考え中』で唯一映像化されてるこれが! 今回は自分たちの単独の稽古もあって、こっちの稽古が5日しかとれなかったんですが、その代わり台本は変えないというやり方だったんです。今まで1時間40分くらいのセリフが入ってたんだから、約20分だったら5回稽古すれば覚えられると思うじゃないですか。それが単純に覚えてこない。これまでは、周りが一生懸命やって早めにセリフが入る、焦る、そこで初めてネタを覚えようかってなるという鈴木さんの感情の流れがあったんですが、5回じゃ無理だったってことです。
 
●これまでの『田中が考え中』の稽古を拝見してきて、鈴木さんだったら逆に「ミニバージョンだから」とか「アンガールズの単独でしょ」って、手を抜く気満々になりそうな。
田中:そうなんですよ! なのに終わったあと、すげー落ち込んでるんですよ! 落ちこむっていうか、セリフ入れて来てないのに落ちこむも何も……。実際に、ブルーリバー川原と鈴木さんの絡みのとき、鈴木さんセリフ飛んで。川原はがんばって台本通りツッコミがんばってくれてるのに、鈴木さんが飛んだもんだから川原も巻き込まれて「え? え?」みたいになっちゃって。俺、袖から見てたんですけど、もう「あー……」って。それが全部今回DVDに入っちゃってます。
 
●幕間のVTRでは、田中さんのお母さんが大活躍でしたね。
田中:毎回、これだけは単独ライブでやらせてもらってるんですが、これはほんとに一発撮りなんですよ。電話かけるだけで、合間のVTRがこれだけ撮れて、本当に楽で助かります(笑)。
 
●最後に読者にメッセージをお願いします。
田中:7年ぶりにやったんですけど、間違いなく過去最高ぐらいのネタが書けたと思いますし、テレビには向いてないけど、ライブにフィットする、“ザ・ライブ”っぽいネタもできたので、ぜひこれを買って見てほしいです。そして、絶対に、YouTubeにアップしないでください! それをされるとDVDが売れなくなって、もう次回の単独ライブができなくなってしまうので、その件だけよろしくお願いします。
山根:息抜きで買って見てもらいたいなと思いますね。今、子育てしてて思うんですけど、お母さんたちは結構外に出られなかったりとか、ストレスたまったりするんですよね。なので、旦那さんがこれを買って帰って、家で楽しんでもらう時間になればと思います。

『アンガールズ単独ライブ「~ゴミにも息づく生命がある~」』詳細ページは こちら