不思議な世界観を作り出し、観る者を引き込むラバーガール。彼らの単独ライブ『solo live+「T/V」』は、前作に引き続き演出家の細川徹(大人計画。演出家/脚本家)が参加し、新たな一面を見せる作品となった。観終わった後に「いいものを観たなぁ」と呟かずにはいられない、そんなDVDなのだ。

 
●『solo live+「T/V」』は実験的でもあり、いろんな試みやトリックが随所にちりばめられていて、とても珍しいライブでした。
大水洋介(以下、大水):前回から細川さんに参加してもらって、3人でネタ作りをしているのですが、その中で言っているのが“得意じゃないこともやっていこう”。今まではふたりだったので、得意なネタばかりやっていたのですが、せっかく細川さんに入ってもらったことだし、普段はあまりやらないようなこともやろうと意識しています。
 
●本作のネタだと、得意じゃないものはどれなんですか?
大水:得意じゃないというか、例えば「相関図」のように映像を使いながらやるネタは、普段やらないものですし、あとは……。
飛永翼(以下、飛永):「店」以外、全部じゃない (笑)?
 
●ほぼ普段やらないネタばかりだった、と。
大水:身体を動かすネタとか、まずやらないしね。
 
●そうですね、特に今回収録されている大水さんのダンス! このレア度は高いのでは……。
飛永:僕が“踊れ”と言ってもなかなか踊らないので、細川さんとふたりで、“大水さんは踊ったほうが面白い”“疲れたほうが面白い”と説得したんです。僕だけだったら、説得はまず無理でした。
 
●と言うことは、飛永さんは以前から大水さんを踊らせたかったんですか?
飛永:そうですね、けっこう前から“バレエか社交ダンスをやってくれ”と頼んでいたんですが、“いやだ、オマエがやればいいじゃないか”と言うんです。僕がやっても意味がない、大水さんじゃないと。
大水:だって、自分の身体が動かないことは、自分が一番よくわかっているもの。今回だって、ちゃんと振り付けの人に来てもらい、もっと見事なダンスを踊る予定だったんですが、身体が動かなくて、だんだん簡易的なものになっていきましたから。
飛永:だから習えば、身体が動くようになるんじゃない?
 
●今回、踊ってみてダンスに開眼したりは?
大水:いや、逆に限界を感じました。まず、足が上がらない。身体が硬くて、なんとなく様になっている風にはできるんですが、それ以上にはならない。
飛永:うん、それはやってないからだよ(笑)。単独の2ヵ月前からいきなりダンスを始めても、なかなかできないって。
 
●それでは、本作の中で思い入れの強いネタを教えてもらえますか。
飛永:「過去から来た男」は、ネタ作りがけっこう大変でした。最初に大水さんがちょろっと書いてきた設定が“未来からじゃなく、過去から人が来たら面白いんじゃないか”。そこから何となく始めたんですけど、どう展開させるかがすごく難しくて。結果的にいろんな世界観のヤツが来ることにしたんですが、そこにたどり着くまでけっこう苦労しました。途中で物語に展開がなくちゃいけない、でもそこまで発展させるのが難しい。しかも大水さんがドラマの撮影に入っていたり、細川さんが別の脚本を書いていたりで、ものすごく時間がなかったんです。時間に追われる中で新しい展開を考えるのが大変でした。
 
●結局、どう打開したんですか?
大水:飲みながら話したんだっけ?
飛永:ああ、そうかも。会議室だと出てこないから、場所を変えて飲みに行こう、みたいな感じで。まぁたぶん、細川さんと大水さんが飲みたいだけだと思うんですけど。
 
●そうなんですか、大水さん?
大水:そうですね(笑)。
飛永:飲みながらだと、“これでいこう”という決断が、すごく早いんですよ(笑)。
大水:酒が後押ししてくれるからね。
飛永:それで助けられたネタもあるのかな。「大水は人気者」も、飲みながら作った覚えがある。これも普通の状態では出てこないかも。
 
●では、大水さんの思い入れの強いネタは?
大水:大変だったのは「ドラマ」。ダンスもそうですし、長ゼリフも本当はこの倍くらいの量があるんですよ。しかも台本が出来上がったのが本番10日前だったので、全然覚えられなくて。セリフを覚えられないなんて、初めてですよ。結局、半分に減らしてもらいました。細川さんには“『リーガル・ハイ』の堺雅人さんみたいにやってくれ”と言われたんですが、無理でした。やっぱり堺さんはすごいな、と。
 
●では、やっていて楽しかったネタは?
大水:「過去から来た男」ですね。いろんな人になれるのと、何度か舞台袖にはけられるので、息抜きができるから。ちょっと水を飲むくらいですが(笑)。
飛永:今回はネタの合間に映像を一切使っていませんから。そう考えると、今までは楽だったよね。映像が3〜4分あると、次のネタの頭をちょっとだけ練習したり、「もう少し声を大きくしようか」みたいなチェックしたりできるんですが、それがまったくできないので。
 
●映像を作らなかったのはなぜですか?
飛永:今まであまり感情を出さない楽なネタが多かったので、“あえて大変になろう”という意図と、他人のライブを観ていても、映像を入れることに目新しさを感じなくなっていること、そして細川さんに入ってもらっているから、お笑いよりちょっとだけ舞台寄りのものにしよう、と。それで映像はいらないかな、という結論になりました。
 
●なぜ今回、そこまで“あえて苦労しよう”という修行僧のような気持ちになっていたんですか?
飛永:僕は、前々作の『ジェイコブ』をやった時に、“ひと通りやれることはやったな”という心境になったんです。ネタ作りのコツを覚えてしまったので、あまり楽しくなくなったな、という感じがあって。そのタイミングで細川さんが来て、もうちょっと演技をできることをアピールしたほうがいいのかなと思い、それに身を委ねているんです。新しいことをやっていかないと、自分の身にならないこともあり、なるべく大変なことをしたほうがいい気がしています。
大水:面白さプラス“すごい”と思わせることがあったほうが、お客さんの中にお得感があるのかな、って。細川さんもけっこう、こっちに無理をさせたり、見事なものを見せる、みたいなのが好きなので。
飛永:イヤな言い方だな(笑)。
大水:大変にはなるんですけど、やりがいはあります。あ、もうひとつ、お気に入りのネタは「脱出」。『テラスハウス』っぽいネタなんですが、ああいうキザな演技が苦手なんです。それにチャレンジできたな、という思い出にはなりました。ただ、あまりうまくはないんだよな……。
飛永:確かに大水さんは、キザな役には照れがあるよね。アニメ的なキザはできるんだけど、ナチュラルなキザは苦手でしょ?
大水:自分の中に、そういう要素がないんだろうね。若者っぽい、カッコつけた感じが。
 
●先ほどからお名前が出ている細川さん、おふたりにとってどんな存在ですか?
飛永:初めてちゃんとホメてくれる人です。僕はあまり自分に自信がないので、“大水さんが目立てばいいや”と思っていたのですが、シティボーイズのライブで初めて細川さんとご一緒させていただき、そこからドラマも何度かやったところ、僕の演技を“パターンが多くていいね”とホメてくれます。今まであまりホメられたことがなかったので、嬉しかったですね。感覚的には、大水さんより僕のほうが、細川さんに気に入られているのかな(笑)。
大水:うーん、まぁ、そういうことでいいんじゃない(笑)?
飛永:だって大水さん、細川さんの前で“僕は福田(雄一)組※です”(※ブラボーカンパニー座長として構成・演出担当、放送作家、脚本家、監督など幅広く活躍中)と言ったんでしょ?
大水:あれは罠だよ! 細川さんに“大水くんは福田組なんでしょ?”って言われたから……、思わず“はい”と言っちゃっただけで。僕は福田組でもあり、細川組でもあると、これから言っていきたい!(笑)そんな細川さんは、僕らだけでネタ作りをしていた時には出てこない発想をくれたりするので、一緒にやっていてよかったな、と思います。基本的には僕らの意見を尊重してくれて、そこにプラスアルファをくれるので、ありがたい存在ですね。
 
●それでは最後に、メッセージをお願いします。
飛永:結局、生のライブで観るのが一番面白いと思うので、このDVDを観て「次の単独に行きたいな」と思ったら、ぜひ足を運んでください。そう思ってもらえる1枚には、なっていると思うので。
大水:演技やら、ダンスやら、長ゼリフやら、今できる限界のことに挑戦しているので、これが今出せる最高峰です!! 
飛永:……それ、文章にするとかなり強気なことになると思うけど?
大水:いいの、いいの(笑)。
 
 
 
 
 
 
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