さまざまな波を乗り越えて結成10年を迎えた日本エレキテル連合が、テーマを取り払って単独ライブに挑みました。その結果、「一番手応えがあった」「いつもよりも楽しめた」という2人。よりディープに、よりポップに世界を広げた、日本エレキテル連合充実の最新ライブDVDの誕生です。

 
日本エレキテル連合 インタビュー
 
日本エレキテル連合 インタビュー●今回の単独ライブはどのように取り組んだんですか?
中野聡子(以下、中野):前回の「地獄コンデンサ」は“地獄”ってテーマを作ったので、「むずかしい」って周りから言われて。その前も“日本神話”だったり、テーマを決めてたんですが、今回は取り払って、もうちょっと気軽に、自分たちも楽しんでやれるように心がけました。縛りがなかったので、いろんなネタができましたね。
橋本小雪(以下、橋本):そのせいか今回は中野さんが書いてくれるペースが早かったんですよ。もちろんこれまでもちゃんとできてますし、稽古する時間もあったんですけど、今回はより時間ができたので楽しめました。
中野:結局最後にはテーマみたいなものができちゃたんですけどね、“昭和感”っていう。統一性は出せたんですが、これまでの中で一番軽くてポップにしたつもりが、一番グロテスクだったなと。
 
●フライヤーはポップでしたね。
中野:私、漫画家の高橋留美子先生が大好きで。なので、ライブの中身とまったく関係なく、高橋留美子先生タッチの絵を、橋本さんのお姉さんに描いてもらいました。ちゃんと高橋先生にも許可をいただいて。
橋本:原画が姉で、そこにちょっとアニメっぽく色を足したのが私なんですけど。姉は似顔絵屋さんをやってるんです。なので、こういうイメージっていうのをお願いして作ってもらいました。今まで姉にこういうことを頼んだことはなかったんですけど、今回ほかに頼める人がいなくて。「こういうことできる?」って聞いたら、「やらせてもらいたい」って言ってくれました。以前から私たちのことをめちゃくちゃ応援してくれてるので、恐縮してしまって、私たちのライブの絵を描くってことに震えてました(笑)。
中野:タイトルは、自分たちの今までの10年を振り返ったときに、すごく波があったなって思ったので、“波”から、波ってほかに言い方ないかなと探して、これまでみたいに電気に引っ掛けたいなってところで、電気波形、パルスって思いついて。「来た」って思いましたね(笑)。今一番自分たちにしっくり来る言葉だなと。
橋本:タイトルが決まるのも割と早かった気がしますね。
 
●ネタはどうやって出来上がっていったんですか?
中野:まず、ネタの合間に歌う歌のジャンルを何にするかってところから。まだやってないジャンルは何かって考えたらフォークだと。なのでフォークソングの歌詞を最初に考えました。そしたらそのあと全部それに引っ張られて、「フォークの二人」ができましたね。延々火炎瓶作ってる2人のネタが。
橋本:昭和のインテリな感じの。
中野:「花火」は、江戸の粋な浴衣を着たいなと思って。橋本さんには、入れ墨柄の衣装を着てもらおうと思ったら、すごく時間がかかることがわかったので、ネタはできてなかったんですけど、先に衣装の発注だけしたんです。20万。
橋本:買い取りです。
中野:でも結局本番に間に合わなくて、ライブではサンプルを借りて着ることに。実際の衣装はライブが終わってから届きました。
橋本:まだ箱も空けずに置いてあります。どこかで見せたいよね。今度のDVD発売記念イベントとか。
中野:ライブでは不動明王の絵柄だったんですけど、注文したものは違うんですよ。
 
日本エレキテル連合 インタビュー●前回も小道具を30万で買い取ったり、お金がかかって大変ですね。
中野:「保健室」も本当は着ぐるみを作りたかったんです。フェティシズムのネタなんですけど、足フェチの人は、究極、足だけあればいいんじゃないかなって思って。
橋本:最初に中野さんがこのネタを思いついたとき、「とりあえず着ぐるみの業者いろいろ探して」って言われたんですけど、全然理解できなくて。
中野:その着ぐるみも結局40〜50万かかると。でもすでに20万自腹で出してるので、さらに50万かかったらもう無理だと思ったので、これは自分たちで作りました。
橋本:大変だったんですけど、作ってるときの映像をYouTubeにアップしたので、大変だったときの気持ちは成仏できましたね。
 
●「追悼番組」はどういう経緯でできたんですか?
中野:私が昔からよく、橋本さんの葬式のシュミレーションをやってたんです。いろんな人が来てくれて「早すぎるでー」って言ってくれたりとか。
橋本:そうなんですよ。各界の著名な方々が来てインタビューに答えたり。
中野:弔事は誰がやるとか。
橋本:「そのとき私は凛としてるから」「いい相方を演じるから」って言ってくれるんですけど(笑)。
中野:それを橋本さんじゃなくて噺家さんでやってみたネタです。俳優さんとかアーテイストの方って訃報の報道で出てくる過去の映像がカッコいいんですけど、芸人さんの場合、ちょっとおもしろい映像が多いじゃないですか。多分、私たちが死んだときも白塗りが出てきて「ダメよ〜ダメダメ」って言ってるのかと思うと嫌だなって(笑)。
 
●おふたりのアドリブが楽しめるのが「キャバクラ」ですね。
中野:これは最初と最後だけ決まってて、間はそれぞれで考えてしゃべってました。
橋本:「今日はあれ言おうかな」とか考えて。ネタ終わりはちょっとピリつきますね(笑)。
中野:ムカつくので。私、何言ったっけ? 確か、私のほうが高いコスメを使ってるのに、それを知らずに化粧品をトレードしたことかな。小さいことなのでこれまでなかなか言えなかったんですけど、舞台で言ってやりました。
橋本:私はDVDにも入ってる中野さんの奇行の話を。
中野:そう! それが一番ムカつくんですよ。しかもエピソードトークがなってないから全然伝わってないんですよ!
橋本:味、味!
 
日本エレキテル連合 インタビュー●「ピンクの電話」はモノマネネタで。
中野:私がピンクの電話のよっちゃん(清水よし子)さんのモノマネができるので、モノマネの新ネタを作ってみようかと。なので、橋本さんにミヤちゃん(竹内都子)さんをやってほしいってお願いしたら、がんばってくれて。
橋本:番組とか見て勉強しました。そしたらできるようになりまして。
中野:ライブでは漫才ネタなんですが、ピンクの電話さんって実はコントなんですよね。
橋本:なのでネタはイメージで作りました。本番にはよっちゃんさんが観に来てくださったんです。会場から「やだー!」って声が聞こえて(笑)。おかしなことになってたよね。
中野:楽屋でも「来てくれてありがとう!」ってよっちゃんさんとモノマネで話したり。時空がゆがみましたね(笑)。
橋本:ありがたいことに、お2人とも公認してくださって。
中野:昭和を代表する女性芸人さんですから、やっぱり“昭和感”なネタになりましたね。
 
●ライブが終わってどうでしたか?
中野:今までで一番手応えがあったと思います。ずっと応援してくださってたファンの方はよりディープになってくれたし、ご新規さんには、エレキテルって難しいネタだけじゃなくて見やすいネタもやってくれるんだって思っていただけたり、いろんな層に届いた感じがしました。
橋本:私も中野さんが言ったことと同じなんですけど、今回は自分たちで撮って編集したVTRもあったり、これまで以上に作品に関わったなって気持ちが強かったです 。あと、中野さんが早くネタを作ってくれたおかげで、自分の気持ちに余裕があったので、ほんとに楽しみながらできました。いつもよりももっと楽かったです。その分、終わってからすごく寂しくて。毎回寂しくなるんですけど、今回もまたロスになっちゃいましたね。
 
●最後に今回のDVDの見どころをお願いします。
中野:1960〜70年代風の香りですね。私の中では“寺山修司からマイケル・ジャクソン”まで、“アングラからキング・オブ・ポップ”までというテーマになっているので、いろんな要素を見てもらいたいです。
橋本:私は、“中野覚醒”って裏で思っていて。本人には言ってないんですけど、神懸ってました。特典映像の「どんと来い! マンチン音頭」では、台本もないのに役に入り込んでたり。とにかくこのDVDの中野がすごいってことが言いたいです。中野をぜひ見て欲しいと思います。

日本エレキテル連合 インタビュー
 
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