前作『シリアル電気』で人々を悲鳴と笑いの渦に巻き込んだ日本エレキテル連合が、パワーアップして帰ってきた! 第2弾DVD『腹腹電気』では、大人気キャラクター・細貝さんと朱美ちゃんをはじめ、強烈かつ強力なキャラクターが目白押し。摩訶不思議なコントを作り出す彼女たちの“腹の中”、探ってみます!!

——『腹腹電気』が発売になりますが、早くも第2弾ですね!
中野聡子(以下、中野):ありがたいことです。
——第1弾DVD『シリアル電気』の反響はいかがでしたか?
中野:朱美ちゃんと細貝さんの他にも、いろいろとキャラがあることを知っていただけたのが、嬉しかったですね。
橋本小雪(以下、橋本):“全部キャラが違って、面白かった”と言っていただけました。
——そして今回の『腹腹電気』、DVDを観た感じだとライブ形式ではなく、スタジオで収録されたようですね。
中野:そうなんです。私たちのコントって、笑うポイントがお客さん個人それぞれなもので……。狙い通りに見せられない自分たちが悪いんですけど、お客さんを入れると、コント中ずっとドヨドヨしている感じになってしまうので(笑)。なので、観ていただいた方が“面白い”と思ったところで素直に笑っていただけるよう、この形にしたんです。収録の順番は、メイクが一番少ないものから始めて、なるべく時間がかからないよう、段取りよくやるようにしました。
——日本エレキテル連合さんのネタを観ていると、そのカッコ良さにシビレてしまいますね。女性でこれだけ行ききったコントをできる人、他になかなかいないと思います。ふたりにとって、ネタを作る上でのポリシーとは?
中野:基本的には「面白いと思ったことを素直にやろう」。あまり人の意見を聞かないというか、自分の中で面白いことはとにかくやります。あと、最初の明転(舞台にライトが点いて明るくなること)で、笑いが起きたら勝ちだと思っています。最初に力を入れすぎて、尻すぼみになることもありますが(笑)。
——今回のDVD、観てみての感想は?
中野:すごくいい作品ができたな、という気持ちでいっぱいです。『シリアル電気』も満足ゆくものでしたが、もっと自信を持ってお届けできるDVDとなりました。
橋本:うん、私も。
中野:自分たちで観て、こんなに笑うことってなかなかないかも。

——『腹腹電気』に収められている9本のネタですが、おふたりの中で思い入れの強いものはありますか?
橋本:私は「実のスイカ」です。これは正直、プロとして失格なんですけど……収録中に笑ってしまいました。中野が演じている実さんというオジサンが、本当に気持ち悪い! 自分が実際に、この状況に対面しているような感覚に陥ってしまって。思わず噴き出してしまいました。
中野:私もネタをやっている最中、理性が飛んじゃって、危なかったです(笑)。おかげで何をやったのかすっかり忘れていて、完成作品を見た時は本気で笑っちゃいました。
橋本:このネタの中で、中野さんがアドリブで吐いたセリフ“おめぇ、スイカみたいなおっぱいしてんだな!”が、あまりにもツボで、もうダメだと(笑)。どのネタも好きなんですが、収録中に我慢できず噴き出したほど、大好きです。
中野:私は「都美子とのぶ夫」です。『シリアル電気』で「都美子と比呂美」というOLのふたりのコントがあり、その続きのようになっていますが、実はこっちのほうが先にできていたんです。このネタは、今の事務所に入る前からずっとやっていますね。都美子みたいな顔の人、意外と現実にもいるじゃないですか。それもあって、思い入れの強いネタです。

——都美子さんの旦那さんを、のぶ夫さんみたいな人にしようと思ったのは?
中野:都美子とのぶ夫はカルチャースクールで出会っているので、のぶ夫は“カルチャースクールに来そうな人”として考えました。たぶん、陶芸やしおりを作るカルチャースクールに通っていたのだと思います。
——日本エレキテル連合さんのネタは、基本的に中野さんが作っているとのことですが、アイディアはどういう形で生まれてくるんですか?
中野:私の場合、絵から生まれてくるんです。見た目、格好からネタを作っていきますね。ある意味、辻褄を格好に合わせている(笑)。『腹腹電気』と『シリアル電気』の大きく違うところは、最近やっと橋本さんが頼もしくなって、キャラを自分で考えて作るようになってくれました。橋本さんもキャラ作りに貢献してくれているところが、一番の違いです。だから今回は、まずは格好だけ作って、ふたりでキャラを入れて会話しながら作りました。
——すべてのキャラが、魂が乗り移ってできているんですね。
中野:そうです。今回収録している「木茂井一物とゆみちゃん」の木茂井先生は、ほとんど橋本さんが勝手にやっているキャラです。
橋本:演じていたら、楽しくなっちゃって(笑)。このネタを一度舞台でやったところ、舞台袖で見ていた芸人さんから「女の子(ゆみちゃん)を、あの化け物から守ってやりたい!」と言われたくらい、熱を入れて演じています。


——どのネタもすごいですが、いきなり一発目の「作業服と機関銃」から度肝を抜かれました。これは、どういう絵を浮かべたんですか?
中野:青年海外協力隊の一員で、現地の農業指導員ですね。私が演じている人は、たぶん一時期大阪へ留学していて、そこで日本のお笑いを知ったのでしょう。その後、現地で相方と出会い、コンビを組んだんです。
——そういう感じで、どのネタも背景が想像できる、濃厚なキャラばかりですね。ちなみに、収録中のエピソードは?
橋本:「老乱」で、中野さんから“ほおずきを持たせたい”と言われたので用意して持ってみたところ、すごくステキな色合いになって、ちょっとびっくり。これは、思い出深いですね。
中野:ほおずきには、花魁にとって深い意味のある物ですから。
橋本:あと、「実のスイカ」で使っているのは、本物のスイカなんですよ。
中野:あれは持ち上げるのが大変だった!
橋本:よく持ち上げたよね。
中野:4Lという、めちゃくちゃ大きなサイズのスイカだったから。
橋本:“中野さん、すごいな”と思ったよ。
中野:私は「ちずる」と「犬」に出てくる、三好ですね。彼はNGがないことで有名な、セレブ御用達の出張ホストなんですが、予約が2年待ちという大人気ホストです。この美しい三好を、どうしても出しておきたかった。橋本さんがこれ以上年を取ると、三好が美しくなくなってしまうので、まさに今しかできないネタなんです。たぶん、あと2〜3年したらできなくなってしまうでしょう。
橋本:うん、できなくなるだろうね。
中野:あと、個人的なことですが、私は『シリアル電気』の頃より13キロも太ってしまったので、衣装がパツパツです。
橋本:特に“ゆみちゃん”がヤバイよね。パワーアップしてた。
中野:衣装を破っちゃったもん(笑)。

——おふたりのネタからは、キャラクターに対する深い愛情を感じます。
中野:はい、愛してます。すごく大好きです。
橋本:キャラクターについて、普段の会話でしゃべったりします。
中野:例えば、“細貝さんは、朱美ちゃんという愛する存在ができたから、幸せなんだと思う”とか。「都美子と比呂美」のふたりに関しては、私たちとすごく似ているし。「実のスイカ」の実さんには、実(みのり)さんという亡き妻がいて、スイカの品種名も“みのり”というんです。
橋本:そういう細かいところまで、話して決めています。

——『腹腹電気』の見どころは?
中野:まずはセットを見ていただきたいですね。蓮の花がモチーフなのですが、蓮は仏様の花なんです。なぜ蓮にしたかというと、細貝さんがあの世へ旅立たれるから。いろんなキャラクターがあるのに、細貝さんと朱美ちゃんばかりが有名になってしまって、このままだと私たちはこのキャラに殺されてしまう。ならば、その前に殺してしまおうと。とっても大切なキャラですから、飽きられて世間から殺される前に、自分たちで消してやろうと思って。
橋本:だからコントのタイトルが「ありがとう」なんです。
中野:朱美ちゃんたちのおかげでたくさん露出できるようになり、本当に感謝しています。だから、「ありがとう」。成仏してください、と。ただ殺したとは言え、“朱美ちゃんが必要”と呼んでいただけたら、すぐ生き返りますけど(笑)。
——それでは、読者の皆さんにひと言、メッセージをお願いします。
中野:『腹腹電気』は、キャラクターの深さをよりわかっていただける作品となりました。1作目を買ってくださった皆さんはさらに楽しめると思いますし、私たちのDVDを本作で初めて買った人は、きっと1作目の『シリアル電気』を観たくなることでしょう。私たちサイドからはあまりヒントを出していませんが、キャラクター同士の関係性を辻褄合わせてもらったり、背景を考えることで、ルーツを探っていただければと。さりげなく『シリアル電気』で伏線を張っておいて、『腹腹電気』で回収しているものもあります。その辺も、きっと楽しんでいただけると思います。
橋本:本当にばかばかしいことをやっているので、“くだらないことやってるなぁ、アハハ”と楽しんでいただければ嬉しいです。
中野:伏線とか考えずに、単純に観ても笑ってもらえる作品になっていますから。