『R−1ぐらんぷり2015』準優勝で、一躍脚光を浴びたマツモトクラブ。卓越した演技力で、世の中からちょっとズレている人を描き出す。ベストコント集『ヒゲメガネ thank you!』には、人間の侘び寂びが詰まっている。彼があぶり出したい世界とは、いったい——?

 

 
●本作が初のDVDとなりますが、最初にリリースを聞いた時の感想は?
◯自分のネタを、いろんな人に観ていただけるチャンスを得られるな、と思いました。たくさんの人に、観ていただきたいので。
 
●このリリースのきっかけのひとつが『R−1ぐらんぷり2015』準優勝だと思います。その後、変化はありましたか?
◯単純に、ツイッターのフォロワーが増えました。『R−1』の本番が始まる前は600人くらいだったフォロワーが、大会が終わって楽屋に戻ると3,000人になっていました。そこからさらにジワジワ増えて、今は9,500人くらいです(5月中旬時点)。
 
●すごいですね! 『R−1』が放送された19:00〜20:54のわずか2時間で、フォロワーが5倍になるとは!
◯僕が出たのは20:00ちょっと前だったので、実質約1時間だったと思います。今まで見たことのないツイッターの通知が来て、びっくりしました。リプライが来ると件数が出るんですが、それまではせいぜい2〜3件だったのに、“20+”という表示になっていて。20件以上リプライが来ると、そういう形になるみたいです。
 
●そして今回、発売される『ヒゲメガネ thank you!』。ジャケット写真は昼間からお酒を飲んでいる爽やかな写真ですが……。
◯理想の休日です。明るい時間からお酒を飲むのが、理想なので。
 
●タイトルの意味は?
『R−1』でやったストリートミュージシャンのネタが最後に「thank you!」と言って終わるのと、ミュージシャンの目の前に立っているお蕎麦屋さんの勤務店名が「三久(さんきゅう)」なんですよ。あと、今まで応援してくださった方々へのお礼を込めて、thank youという言葉を入れました。
 
●人間の侘び寂びから淫靡さまで詰まっているコント群ですが、マツモトクラブさんがネタを作る上でのこだわりは?
◯日常の中にあるものから始まりたい、ということです。どこかリアルでなきゃいけない、リアルのラインを超えちゃいけないと思っています。“もしかしたらこういう人、いるんじゃないか”というポイントを狙いたいんですね。よくありそうなことから入って、あり得なさそうなところで終わるのが理想型です。
 
●ネタ作りは、どうやっているんですか?
◯実際に体験したことが、わりと多いかもしれませんね。
 
●えっ!? どのコントが実体験なんですか……?
◯「ストリートミュージシャン」は、駅前で歌うミュージシャンの目の前に立っていた人がいたんです。“そんな至近距離で立つかよ”と思ったことが、きっかけですね。「記念写真」も、“写真を撮ってください”とお願いされて撮ったら、カメラの設定が自撮りになっていて“あれっ、僕が映ってますよ”という経験を何度かしているんです。「4丁目のコンビニ」は、“最近のコンビニは、ポイントカード、ポイントカードとうるさいな”というところから始まっています。日常の中から見つけたいと思っていますし、そういうところから始められた時は面白いネタができているような感覚がありますね。
 
●“これはネタになるな”というのは、その瞬間にピンと来るんですか?
◯そうです。逆に言うと、その瞬間はいっぱいあるんですよ。それで考え始めて、結局ネタにできなかったものもありますし、ネタにしたけど面白さが伝わらなかったものもあります。
 
●今回のDVDはベスト盤とのことですが、このコントたちを選んだ理由は?
◯まず単純に、自分が好きなネタを観てもらいたい、ということ。あとは、お客さんが笑ってくれたネタ、ある程度評価してもらえたネタを選びました。
 
●中でもお気に入りは?
◯「キャッチボール」ですね。ネタをやっている最中が楽しいんですよ。
 
●この「キャッチボール」、ものすごいオチが待ち受けていますが……。あのオチは、どこでこのネタをやっても変わらないんですか?
◯変わりませんが、DVD収録に関しては、ちょっと調子に乗りすぎました(笑)。普段は、あんなに長くはやりません。
 
●マツモトクラブさんは、役者だった経歴をお持ちですよね。元役者の人が、ひとりで完結する芝居タイプじゃなく、音声のやりとりをする、ひとりコント・スタイルなのは、珍しいと思うんです。なぜ、このスタイルを選んだのでしょうか?
◯劇団に12年くらい所属していて、そこを辞めてから1年くらい働いていた期間があるんですけど、その間にiPhoneを買ったんです。iPhoneにボイスメモ機能って、ありますよね。これをいじっているうちに、当時『M−1グランプリ』が好きで漫才をよく観ていたのですが、その漫才を紙に書き起こして、片方の人のセリフをボイスメモに吹き込み、もうひとりを生で自分がやり、その姿を録画する、という遊びをやり始めたんです。ここで“声とのやりとり”をよくやっていたことが、今のスタイルにつながっています。
 
●じゃあ、もともとは漫才がやりたかったんですか?
◯いえ、それは単純に遊びでした。
 
●コンビを組もうと思ったことは?
◯ないですね。劇団を辞めたのも、それまで複数の人数で作ってきたものから“ピンでやって、ひとりで戦ってみたい”という気持ちがあったので。
 
●それでは、本作の観どころを。
◯好きなネタが9本入っていますし、その合間には「ストリートミュージシャンのその後」なども入っています。1枚観終わった後に、“ひとつの何かを観たぞ”という満足感を持っていただけるんじゃないかというところをお薦めしたいですね。
 
●さて、先ほど“理想の休日”の話が出ましたが、現実の休日はどんな風にして過ごしているんですか?
◯現実もこれに近いというか、昼間からなかなか飲めるチャンスはありませんが、安い居酒屋で芸人仲間と飲んでいることが多いです。よく飲む芸人は、モダンタイムスさんと中山亮ですね。飲んでいる時の会話は、中山亮とはイヤらしい話がメインです(笑)。モダンタイムスさんは“今後、こうやったほうがいい”とかのアドバイスもしてくれますし、お笑いの話が多いですね。
 
●好きなお酒は?
◯焼酎です。いつも安い焼酎を飲んでいるので、高い焼酎をたまに飲むと、気持ち悪くなります。ビールもそうで、家では第三のビールばかり飲んでいるから、たまにお店で生ビールとかを飲むと、“これはビールじゃない”と思っちゃうんです(笑)。
 
●“幸せだな”と思う瞬間は?
◯もっと遅くまでかかるはずだった仕事が、急に早く終わった時です。ちょっと早くからお酒が飲めるので(笑)。
 
●今、欲しいものは?
◯犬が欲しいです。実家ではずっと飼っていたんですけど、今は飼えないので。だからよく犬の動画を観ているんですが、靴下を履かされた犬ってどうなるか知ってます? すっごく変な歩き方をするんですよ。そういう動画を観ていると、可愛くて。早く犬を飼って、靴下を履かせたいです(笑)。
 
●それでは最後に、メッセージを。
◯『R−1ぐらんぷり2015』でやったストリートミュージシャンと蕎麦屋のおじさんのその後が、このDVDには収録されております。ぜひ、ご覧ください。
 

 
『ヒゲメガネ thank you!』詳細ページはこちら