老若男女から支持を集める実力派漫才師、ナイツ。彼らが昨年、重い腰を上げ初めて全国ツアーに繰り出しました! すでに全国各地で漫才を披露している人気者だけに、初といえども腰をどっしり据えて構えたこのツアー。しかし思いもよらぬ反省点が!? ナイツにしかできない時事漫才や実験的な漫才などを引っさげ全国を駆け抜けた集大成をぜひ御覧ください!

 

 
●芸歴16年にして初の全国ツアーですが、これまで全国ツアーをやらなかった理由は?
塙 宣之(以下、塙):そうですね。めんどくさかったから(笑)。
土屋 伸之(以下、土屋):そういう話が出なかったんですよね。サンドウィッチマンさんや東京03さんたちから全国ツアーの話を聞いて、できるならやりたいなって思ったので言ってみたらやらせてくれたってという感じでした。
塙:僕ら漫才なので、全国ツアーって弱いなって感じてたんです。コントと違ってセットとかもないじゃないですか。演芸場でやるから“独演会”なので、全国に演芸場があるわけではないですし。そこでちょっと足踏みしてたところもあって。
 
●実際にやってみていかがでしたか?
塙:地方によって反応が違うというのは思ったよりなかったですね。
土屋:年齢層もいつも通りでした。自分たち世代から上の人たちですね。やりやすかったです。
塙:歌ネタが多かったので全国ツアーという感じがあったかもしれないですね。漫才だとどうしてもそんなにバリエーションはないですから。歌ったりして盛り上げた感じ。なので反省点として、今年もツアーをやるとしたらセットとかあったほうがいいなって思いました。全国共通でいいから演芸場みたいなセットがあるといいですね。やっぱり黒いカーテンの前だと出囃子と合ってなかったり、こう、ナイツの世界観が出ないというか。そういう意味でも国立演芸場が一番いいですよね。お客さんの数とか雰囲気とか。それをそのまま全国に持っていけるような感じにしたいです。
土屋:屏風でもあるといいよね。
塙:安い素材でもいいんですよ、パッと見わからなければ。ダンボールとかでできないんですかね。結局そういうことがめんどくさくなるからやらなかったのもあります。でもやってみていろいろわかりました。
 
●今年も全国ツアーを考えてますか?
塙:そうですね。対策を練ったほうがいいですね。ネタは作るだけですから。
 
●ネタでの反省点はありますか?
塙:ネタなんかどうでもいいんです、今日の話のポイントはセットです。ネタのことなんか触れませんから。メモってるんですよ、「地方は昼公演のほうがいい」とか。
土屋:いやDVDの話にならないから(笑)。でも、ネタの反省会はしてないですね。寄席でネタをするときはその都度話し合いをして修正してるので、それと一緒です。全国ツアーも初日の国立演芸場とDVDではネタが変わってるところが結構あります。
塙:そこは全国ツアーやってみてよかったですね。今までは2回でDVD収録だったのが、今回はどんどん仕上がっていきましたから。最初のほうを見た方には申し訳ないかもしれないですけど、荒削りで長いのもおもしろいですよ。
 
●ナイツさんの独演会ではおなじみの中津川弦さんも各地の公演で活躍されていたようですね。
土屋:絶好調でしたね。
塙:今回は司会だけに専念してもらったんですが、ほんとは司会だけじゃもったいないんですよね。うちの兄貴(はなわ)も中津川くんが気に入っちゃって、この前「はなわ音楽会」てライブに中津川くんを使いたいっていう連絡がきたんですよ。けど、たまたま別のスケジュール入っちゃってて。アナログタロウが代わりに出てました。
土屋:なんとなくわかる(笑)。昭和のイメージのね。
塙:弦ちゃんは貴重なんですよね。チャンス青木師匠も亡くなってしまいましたし、ああいうポジションで、さらに昔の衣裳着た若い人なんていないじゃないですか。ずっとやってもらいたいですね。
 
●特典映像では全国各公演のドキュメンタリーが収録されていますね。
土屋:特典映像は何にも考えないで始まりましたね。
塙:DVDのことを考えてなかった、これも反省点です。
土屋:毎年そうなんですよね。ちょっと今年は考えないと。今回みたいな競馬企画だけだときついです(笑)。一応、人気の馬とか前フリとして情報を入れたんだけど、周りに詳しい人がいないから全然盛り上がんない。少しでも盛り上げようと思ってやってるんですけどね。
塙:オフショット感のあるやつ何か考えますか。
 
●ネタの話をしたいんですが。昔から時事ネタなど攻めてる内容ですが、今回のネタは特に、年を重ねるにつれて許されることが増えてきてるのかなと思うほど攻めてるように感じました。
塙:ほんとその通りですよ(笑)。やりやすくなってます、昔より。 
土屋:そうですね、誰に許されたわけでもないんですけど、勝手にね(笑)。毒っ気は増してますよね。
 
●去年は時事ネタが豊富でしたね。
塙:作りやすかった反面、難しい食材じゃないからこそ難しいっていうのもあったんですよね。ベタな食材だから料理しづらい。意外に2015年のほうが通好みのニュースが多かったので作りやすかったんですよ。「知らないだろ」っていう話のほうがネタ作りやすかったりもするんです。けど、今年は世間が知ってるニュースと知らないニュースの差がありすぎちゃって。知ってるほうでネタを作んなきゃいけなかったので、結構今までにないタイプのネタが多いんです。
土屋:通好みのがあってもデカい情報に埋もれちゃいましたよね。
塙:デカいやつを普通にやったら爆笑問題さんと一緒になっちゃいますし。そのデカいやつでネタ作るとなったら、もう追悼とか物使うとか、そういう流れにするしかなかったかな。もうないんですパターンが(笑)。実はフリップネタも考えたんですけど、DVDのことも考えて。
 
●以前のDVDではフリップにモザイクが入ってますね。
塙:そうなんですよ、写真だったので。あれはダメでしたよね、初めて見た人わけわからないですもんね。だから今回イラストレーターの人に絵をお願いしようと思ったんですけど、時間がなくて。もしかしたら今年やるかもしれないです。そういえば今回のDVDに丸々1曲歌ってるところありますけど、大丈夫なんですか?
土屋:アカペラで俺が普通に歌ってるのに大丈夫なんですか(笑)?
(スタッフ:替え歌じゃないので大丈夫です)
塙:はっはっはっは! そうなんだ! 替え歌しないパターンならアリなんですね。おもしろい。
土屋:なるほど。俺が歌詞を間違えたらまずいかもね、替え歌ってなっちゃう(笑)。
 
●土屋さんが歌うこのネタは画期的ですね。
塙:お母さんが歌手ってフリが効いてますからね。
土屋:いや、そこみんな知らないから(笑)。替え歌じゃないのでクレームが来ないというのはありますけど、ネタとしては替え歌よりバカにしてるかもしれない。
塙:そう(笑)。結局僕らは何かを間違えるのが真骨頂なので、普通の漫才をやらないことも一つの特徴ではあるんですよね。
 
●それが歌やラップにまで進化していってるんですね。
塙:だからこれはもう崩壊する寸前だと思いますよ。バブルのときと一緒。いろんな漫才に手を出してわけわかんなくなって。
 
●土屋さんはどういう気持ちで歌ってるんですか?
土屋:……ほんとですよね(笑)。ほんとにそう思います。俺どんな気持ちで歌ってるんだろ。常に「CDでいいじゃんって」思いながら。選曲は塙さんなので。
塙:いやあ、1年かけてやっとあの曲が見つかったって感じですね。ほんとに、飛行機の機内とかでやってるドキュメンタリー番組の「幻の魚を追う」みたいな。1年いろんな市場行って、普通の人は全然わかんないんだけど、「これ全然脂乗ってないな」とか、苦労して。
土屋:何万何十万の中からね。
塙:最後のあの歌詞にしかできないんですよね。結果、80年代をもっと漁ったほうがいいなと思いました。今の曲はテンポが早すぎるんです。昔のほうがサビがゆっくりだしわかりやすい。
 
●そこにかぶせる塙さんのツッコミはクセになります。
塙:「歌ネタ王」目指してますから。参戦しようと思って。マジです。出れますよね。優勝できるんじゃないかな。
土屋:「M-1グランプリ」は優勝できなかったけど(笑)。
 
●2017年にやりたいことはありますか? ナイツさんはなさそうなイメージもありますが。
塙:みんな「流行語作りたい」とか「紅白出たい」とか言うじゃないですか。僕も「流行語作りたい」って言おうとしたんですけど……、言うことなくて言ってる人もいるんでしょうね。
土屋:若手の頃だとやってないことがいっぱいあるから。
 
●「ワンマンナイツ」を海外でやってみるとか。
塙:口では言ってますけど、まったくないですね(笑)。でもアイク(超新塾)が「海外でウケますよ」って言ってくれて、「そうなんだ」と。そこは2020年に向けて、ちょっとほんとに思いますね。
土屋:海外でやるのか、逆に浅草に外国の方を呼んでやるのか。
塙:ロケとかね。
土屋:YouTubeでそのネタを流したらどのくらいの再生数があるのかとか、どの国の人が見るのかとかね。
 
●最後にそれぞれ見どころをお願いします。
土屋:多分、漫才のネタで初めて自転車が登場するんですよ。
塙:あ、それ見て欲しい。
土屋:どこに出てくるのかっていうのが見どころですね。今までナイツが使った道具の中で最大のモノが初めて登場します。そういう意味でも今までで挑戦的な漫才が一番多かったかもしれないですね。
塙:意外にそうなんだよね。
土屋:ちゃんとした漫才が遂になくなりましたね。喪服着てたり、ラッパーの格好してたり。
塙:名作ですよ。名アルバム、名DVDになってます。
 
 
 
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