2013年の初DVD『シリアル電気』発売から丸3年。今回は『日本エレキテル連合単独公演 電氣ノ社 ~掛けまくも畏き電荷の大前~』&『皆中』と、初の2本同時発売! これで彼女たちが出したDVDは3年間で実に7本。彼女たちが“作品”を大切にする思いは何本DVDを出そうとますます濃くなる一方。ぜひ2本のDVDを見たあとに、自分たちなりの反省や経験を踏まえて2人が語ったこのインタビューを読んでください。

 

 
●まず、ライブDVD『日本エレキテル連合単独公演 電氣ノ社 ~掛けまくも畏き電荷の大前~』のネタ作りについて教えてください。
中野聡子(以下、中野):私たちがいろいろなキャラクターを生み出すこともするし、キャラクターをネタの中で殺しちゃったりもするので、たくさんのファンの方から「神様とやってることが一緒だ」と言っていただいて。それなら神様をテーマにしてみようと、日本神話の神様をイメージしたライブにしました。
 
●実際にライブは演出も含め一貫して“日本の神様”がテーマとなっていましたが、統一したテーマに沿ってネタを作るというのは、いかがでしたか?
中野:大変でした。日本神話って決めたのはいいんですけど、実はあまり知らなくて。「因幡の白兎」とか、有名な神話を読んで、どうコントに絡めていこうか苦労しました。
橋本小雪(以下、橋本):それも一応は勉強したというくらいで。
中野:なので、つながったときはすごくうれしくて。このライブで日本神話を知ったという人がいてくれたのもうれしかったですね。
 
●作りやすかったネタはありますか?
中野:「ひきこもり」ですね。天岩戸(あまのいわと)の神話を元に、太陽の神様である天照大御神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸という洞窟に引きこもったという場面を、現代の引きこもりの男性のネタにしたんですけど、私も橋本さんもどちらも引きこもりなのでやりやすかったです。ただこれ結構かわいそうなネタなんですよね。
橋本:スタッフさんからも「ちょっとあれ、途中から悲しくなってきてさ」って言われたり。
中野:いやーな気持ちにさせようと思って(笑)。
 
●一番大変だったネタは?
中野:苦しんだのは、「神と兎」です。神様が空飛んでるみたいな画と、兎の画は頭の中でできてて。神様が空を飛んでいるようにセグウェイに乗って動くっていうのも、セグウェイにスッと乗れて。ただネタの中身が一個もできなくて……。出オチから作っちゃった感じで、すごく苦しかったです。
●今回もVTRは新キャラが登場したり、クオリティの高いロケが盛りだくさんな内容ですね。
中野:ネタとリンクさせないといけないので同時並行で作るんですが、「キトウレイコという女」はやりたいからやらせてもらいました。
橋本:これ台本がなくて、中野はアドリブでやってるんです。
中野:台本あることにしてました。ないってなると怒られちゃうんで。
橋本:間に合ってないんです(笑)。「台本は頭に入れてます」という感じでやってました。毎年そんな映像ネタが1つは入ってます。
中野:技術さんとかも来てもらってるのにね。
橋本:芸人さんも来てもらってますし、今回は他事務所のモグライダー芝さんにも出てもらったりしてるので、台本ないなんてやばいなと。
中野:話の筋はできてるんですけど、細かなセリフはその場その場でダーッとアドリブで。それが編集のおかげで、ほんとにいいようにしていただきました。
 
●VTRの中でも、J-GODS『HARAETAMAE KIYOMETAMAE』は、曲が配信されたりラジオに出たりと広がってますね。
中野:歌は毎年ライブごとに一曲作ってるんですけど、今年はなんとなくラップがしたいなっていう話はしてたんです。で、「宮司と巫女」というコントの中で、若い人がなかなか参拝に来てくれないから、どうやって呼んだらいいかというのを、宮司さんと巫女さんとが大喜利的に提案していくんですけど、そこがうまくつながって、宮司さんと巫女さんのラップユニットができました。
橋本:本当に評判がよくて、爆笑問題の田中さんが褒めてくれたり。これはよかったね。
中野:ライブで生で歌ったのもめちゃくちゃ気持ちよかった。
橋本:アーティストになった気分だったね。
中野:ラジオもアーティスト気取りで。周りから「何やってんの」って言われましたけど(笑)。でも能町みね子さんがTwitterで褒めてくださってたり、そういえば誰かラッパーの人が褒めてくれてたよ。
橋本:ラッパーが!?
中野:ラップのライブ出演狙ってます(笑)。夏フェスに向けてこれから仕上げとかないと。
 
●このミュージックビデオはYouTube「日本エレキテル連合の感電パラレル」でも見ることができますし、外国の方にもウケそうですね。
中野:祝詞の部分があるので食いつきはいいかもしれないですね。
橋本:日本の文化というかね。
中野:ジャスティン・ビーバーにたどり着く方法を知りたい。
橋本:この前ファンの人がジャスティンビーバー宛にTwitterで送ってるの見つけて笑っちゃった! 多分見てないと思うんですよ、そういうの世界からめっちゃくると思うので。
中野:まかり間違ってPPAPの次みたいになってくれたらいいな。
 
●続いて、撮り下ろしDVD『皆中』の収録ネタはどのように決めたんですか?
中野:昔ちょっとやったネタも入ってたりするんですが、今年は1年間ライブを中心にがんばっていこうという気持ちで活動していて、その中で生まれたネタを入れました。
 
●このDVDに収録されている「ハッピーバースデー」は、先ほど話に出た「引きこもり」の現代バージョンですね。一方、「コックと支配人」は、『電氣ノ社』に収録されている「国産み」と、男性同士、男女のカップルという違いがありますね。
中野:そうなんです。元々「コックと支配人」が先にできてたんですけど、『電氣ノ社』では神様仕様に、神話を絡めて。
 
●言ってる内容は同じでも、男同士の会話と男女の会話の違いは、プライドの違いなんかもあって興味深いです。
中野:そうなんです。そういうところもぜひ比べて見てらもらえるとうれしいです。
 
●「パイオツカイデー」と「ニューイングリッシュティーチャー」は同じ登場人物・ジェニファーのコントですね。
中野:ジェニファーはこの2つの登場人物の中で一番まともな人で、なんにも悪くないんですけど、キャラが濃いんですよね。なので、「パイオツカイデー」の男性は免疫がなくて、「ニューイングリッシュティーチャー」に出て来る子どもは初めて外国の女性を見てカルチャーショックを受けちゃうっていう。
橋本:それで頭が混乱しちゃってね、ああいうことにね(笑)。
 
●「モニークとコシヅカ」も印象的なキャラでした。
橋本:最初にやったのが2013年か2014年か、すごく忙しいときで、どうしようライブがもうすぐある、新ネタしなきゃって慌ててたんです。とりあえず派手な衣裳を見つけてきて、仕事の移動中に「芸術家の2人」「場所はフランスで」みたいな話をして、そのまま舞台に出ちゃいました。アドリブでやったんですけど、終わってからマネージャーさんたちが「これ面白いじゃん」って言ってくれて。
中野:アドリブだったから、1回やったっきりずっとやってなかったんです。
橋本:台本もなかったしね。
中野:今回もアドリブを大事にして、最低限の流れだけ決めて、あえて稽古をせずにやりました。
橋本:お互いの動きを収録で初めて知るから笑いそうになったよね。
中野:何回も撮りなおしたっけ?
橋本:このネタに関してはしてないよね。ほかは結構あったんですけど……。
中野:NG出しまくったね(笑)。
橋本:これは大丈夫。
中野:久々のネタなので、DVD買って見てくれた人の反応が楽しみだね。
橋本:みんな覚えてるのかな?
中野:覚えてないと思うけど(笑)。
 
●「抱いてけババア」は深いですね。
中野:いいこと言うおばさんなんですよ、とんでもないことしてるんですけど(笑)。これは私の中では珍しくサーッとできたネタですね。電車の中で40分くらいで書きました。抱かないと道を通してくれないババアが「抱いてけ抱いてけ」って言うっていうのを思いついちゃって。最初はどうやって通っていくかっていうのを考えてたんですけど、絶対通してくれないんです。通りかかるのが就活生っていうは後付けで。
橋本:そうそう、「『抱いてけババア』ってどう?」って最初から言ってたね。
中野:うん、タイトル先行で。ライブでは途中、ある男性の名前が出てくるんですけど、DVDには入れられなかったです。
橋本:ライブでこのネタを見てくれた人は知ってるよね、あの世界的に有名な。
中野:さすがにダメでした(笑)。
 
●短時間でできたとうわりには、セリフがすごい量ですよね。
中野:私わりとセリフ書くと長いんです。ガーッと書いてたよね、あのとき。書いたのはいいんですけど、もう覚えが悪くて、収録はNGばかりで大変でした。
橋本:撮影の前日にどうしようってなっちゃって、かもめんたるの槙尾さんとか、あばれる君とか、ラブレターズ塚本さんとか、シソンヌさんとかに電話して、「どうやって覚えたらいいんですか?」って。
中野:そしたら「1年目のやつがする質問だよ」「電話かける暇があったら覚えろ」って言われました。
橋本:「今までどうやってたんだよ」と。でもみんなちゃんと答えてくれたんですけどね。
中野:やっぱり結局、練習しかなかったです。でもうちら女子なので、「そうだよね~」「みんな覚えられないよ」って言ってくれたらがんばれたんですが……。みんな男の人なので、「それはやるしかないでしょ」って言われてシュンとしながら。
 
●実際収録ではどのくらい撮り直ししたんですか?
中野:収録はもう、ほんと迷惑をかけました。
橋本:数えられないかもしれない。でも『グッバイヒューズ』のときが一番やばかったんです。私たちほんとに叱られるのが嫌なので、また同じことを繰り返して怒られないように、今回はとにかく必死に時間を巻いて。
中野:そうそう。着替えで巻いたよね。ネタはちょっと迷惑かけちゃうので、せめて着替えだけでも。
橋本:「巻くぞ巻くぞ」って(笑)。
中野:メイクが大変なので、顔はもう1日これやると、2、3日はヒリヒリしてます。
橋本:落として書いて、落として書いてなので。
 
●確かに。1日何回メイクを落としてもヒリヒリしない化粧品とか、どこかの会社さんから御提供いただけるといいですね。
中野:本当に。ぜひお願いしたいです。
 
●最後の『すれ違いじじい』にはどういう意味が……。
中野:何にも考えなくていいんです。私達もよくわかってないです(笑)。
橋本:とにかくすれ違うんです。
中野:「抱いてけババア」のシリーズというか、「抱いてけババア」に対抗して「すれ違いじじい」って作ったんですけど、すれ違うだけなんです。
橋本:このDVDに入れるネタの会議をしたときに、どこでもやったことないこれ限定のやつ、映像にしかできないやつを入れようと。
中野:これをライブでやったらまず大変なので。でも実際いたんだよね、こういう人。
橋本:私見たんです、愛媛で。中野さんちに遊びに行ったとき、このネタみたいにダダダダダダダって、ポケットに手を突っ込んで横断歩道渡ってコンビニにそのまま入ってって。レジでお金出すときに、手が震えてポケットから小銭が全部バラバラバラって何回も落として。震えながらまた帰っていって。
中野:今年の10月くらいかな。
橋本:周りの人たちが全然その人を見ずに通り過ぎていくんです。サーッと。なんかそれが普通なんですけど、異様というか。
中野:みんな気づいてないけど、すれ違ってるよと。
橋本:みんな見てないんだよね。
中野:これやってると私大爆笑したくなるんです、橋本さんの顔がおかしくて。
橋本:すれ違う人を全部中野がやってて、その中に一人、セグウェイに乗ってる人が出てくるんです。そしたら中野さんがセグウェイでサーッと通ったあとに、ドカーンって音がしてコケてて(笑)。
中野:早着替えしてるんで。
橋本:カメラずっと回しっぱなしなんです、撮影止めないんですよ。しかもそれだいぶ後半だったので、止めちゃいけないと思って耐えて。中野さんたぶん取り戻さないといけないって必死に着替えてるんだろうけど、見たくても見れないし。
 
●それを聞いたらもう1回その場面を見たいですね。
橋本:音は入ってないんですけど、1回こけてるぞと。実際はすっごい音したよね。一番本人が焦ってたと思いますけど。
中野:恥ずかしかったですね。そこまでですでに3回くらい撮り直してたんです。1回目なんて、最初に着替えたあと「無理です」とか言っちゃって。本当はもっと細かく顔を描く予定だったんですけど、このペースだとちょっとすれ違えないなと。周りからしたら「ふざけんな」ですよね(笑)。なのでコケたときはもう止められませんでした。
 
●2016年ももう師走ですが、どんな年でしたか?
中野:この2年ありがたいことに忙しくさせてもらった分、ネタをおろそかにしちゃってたところがあったので、とにかく単独公演と、あまり出れてなかったネタライブをがんばりました。今年やってきたことを来年もネタで出せるようやっていきたいと思います。
橋本:今年は中野が肺炎で入院しちゃって、より大事にしないといけないなと。一人じゃ何もできないって思ったので、来年は自分が引っ張れるくらいにやっていきたいなと思います。あと、単独公演が毎回どんなものになるか楽しみにしてるんですけど、今回も楽しかったので、来年はこのDVDをもっとみんなに知ってもらえるようにします。
 
●J-GODSにかけて、神様に1つお願いをするとしたら何にしますか?
中野:何か、なんでもいいので、「またポップなフレーズください」って。何がみんな言いやすいか私たちにはわからないので。
橋本:私は、中野の健康。中野がいないと何もできないので、ほんと心から中野の健康だけを願っております。
 

 
 
『日本エレキテル連合単独公演「電氣ノ社~掛けまくも畏き電荷の大前~」』詳細ページは こちら
『皆中』詳細ページは こちら