激動の2014年に翻弄されて、「死電区間」に挟まれた日本エレキテル連合。死電区間でもがき、苦しみ、彼女たちが求め続けたのは、ただひとつだけ、“日本エレキテル連合のコント”だ。“今の自分たちにしかできない”という真っ直ぐな舞台を全国8ヵ所に全力で届けた彼女たち。その思いがたっぷり詰まったDVD『日本エレキテル連合単独公演「死電区間」』、ついに発売です!

 

 
●今回の「死電区間」全国ツアーで一番印象に残っていることを教えてください。
中野聡子(以下:中野):幕が上がった時、客席のお客様から歓声が聞こえた時、そこがすごく大事で。今回のオープニングは、私たちは舞台にいないので、そこにあるのはセットだけなんです。
橋本小雪(以下:橋本):そこは私たちじゃなくて、音響さん、照明さん、設営してくださったスタッフさんたち、マネージャーとか社員さん、アルバイトさんたちが作ってくださった舞台なので、その方たちのための時間として設けたくて。
中野:なので、舞台幕が上がった瞬間にあがった歓声は、スタッフさんたちに送られたものと思うと、嬉しかったですね。恩返しできたんじゃないかなと。
 
●コントの見せ方について、「死電区間」とこれまでで意識は変わりましたか?
橋本:私たちのコントはよく“不親切”と言われるというか、“勝手に解釈してくれたらいい”というところがあって。
中野:でも、みなさんお金を払って観てくださっていますし、もちろん満足して帰ってもらいたいですから、お客さんにも意味がわかるように、かといって、わかりやす過ぎると私は“味がない”と思ってしまうので、そのあたりは気をつけました。ゆくゆくは、エゴにはならないようにしつつ、“私たちが思うことが正解”って思ってもらえるようにはなりたいです。
 
●「死電区間」を作り上げていく中で、苦労した点や迷いが生じたことなどはありますか?
中野:「死電区間」は、今の私たちにしかできないコントなので、未来にはできないし過去にはできなかった、いろいろなことが2014年にあったから作れる舞台なんです。その、今しかできないことをやるという“粗さ”であったり、“若さ”であったり、そういうことを素直に表現するのが難しかったですね。
 
●“素直に表現するのが難しい”というのは、例えば?
中野:“朱美ちゃんと細貝さんから抜けたい”という気持ちが先に立ってしまうので、先入観や雑念を取っ払って、奇をてらったものにならないように、とにかく冷静にって心がけて、“今しかできないもの”“今の自分たち”っていうのを作るのに苦労しました。
 
●全国8ヵ所という公演数を初めて知った時の感想は?
中野:“多い!”っていうのと、“どうしちまったんだ! 大丈夫か!”と(笑)。あと、すごいプレッシャーですし、しかも1日1公演じゃないですからね、2公演とか。大丈夫かなって。
橋本:朱美ちゃん、細貝さんは全国の方に知っていただけたんですが、そこから先を自分たちが観せに行くということで、すごく嬉しい反面、“どうしよう、本当に来てくれるのかな”とか、めちゃめちゃ緊張しました。
中野:遠くからから私たちを観に来てくださる方もいっぱいるんですけど、来られない方もいるので、そういう方のところに自分たちから行けるのは嬉しいですね。
 
●各地の反応は違いましたか?
中野:全然違いました。ビックリしましたね。正直に言うと、自分たちが作ったものは、どこでも全部同じものをやるのが理想なんですが、反応が全然違っていたので、その辺の尖ったところは一旦捨てて、前説して和らげたり。もちろん、ご当地のものは入れると決めてましたが、昔だったら“前説で空気を緩めるとかはしたくない”“ウケないならウケないでわかんないのが悪い”って言ってたと思います(笑)。
橋本:この会場は明転した時に“ワァッ!”とくるけど、別の会場ではないとか。場面ひとつでも、こんなに反応が違うんだって。
中野:西の人たちはベタなことにしか笑わないとか、そういうことは基本的にないと思ってたんですけど、各地やっぱり、ちょっとありましたね。笑うノリみたいな。北のほうはすごく笑ってくれたり。
橋本:仙台だっけ。名古屋は大人しかったかな。
中野:でも、ちゃんと観てくれてるっていうのがわかったよね。
橋本:岡山もすごく盛り上がったよね。
中野:お笑い文化がないところのほうが盛り上がったかもしれない。岡山は年配の方が多くて、“伝わるかな?”って心配だったんですが、私たちレトロなネタが多くて。
橋本:レトロとかノスタルジックとか。
中野:なので、年配の方のほうがウケが良かったりします。やってることはドリフが教科書なので、色眼鏡かけずに、実のところ簡単なことをやってるっていうのが、年配の方にも伝わったかなと。
 
●各公演の最後には、ご当地のアイテムを付けた朱美ちゃんが登場しましたね。
橋本:頭に付けやすい物を選んだんです。各地に到着した時に駅とか行って、自分たちで買いました。
中野:地方に営業に行った時に、あらかじめ買っておいたりとか。名古屋のシャチホコは迷いましたね。陶器のほうが大きくてインパクトあるんですけど、落としたらちょっと大変だなとか、重いし(笑)。
橋本:あと、ソウル・フードとか。博多といえば明太子だと思うんですけど、「うまかっちゃん」にしたんです。あえて庶民的な、地元に根付いてる人の気持ちをくすぐるものをチョイスしました。「うまかっちゃん」はほんとに喜んでもらえましたね。
中野:朱美ちゃんと細貝さんは、Twitter用の撮影タイムとして客席に降りたんですが、撮る条件として「日本エレキテル連合はあと5年はもつ」っていう文言を付け足すように言ったら、みんな律儀にやってくれて。ときどきTwitter上がるんですよ、“5年余裕でもつ”って(笑)。
橋本:参加型という感じで。すごくありがたいですね。
中野:コントについても、“あれはどういう解釈なんだろう?”とか、Twitterで議論してくれている方々もいたそうで。そういうの、すごく嬉しいです。
橋本:他にも感想で、“明転した舞台がすごくきれいで、それを観るだけでも価値がある”みたいに言ってくれた人がいて。“内容ももちろん面白かったけど、それだけでも価値があるから、とにかくひとつの作品としてすごかった”と。
中野:コントへのリクエストとかもいただきましたし、「The トランプ」については“他の曲も作ってください”とか。なので、Theトランプは、曲いっぱい作ってやろうかなって。正直コントじゃなくていいから、コンサートがしたい。“ソリティアジャンプ”みたいな決め事とか、みんなでやりたい。
橋本:今、手が“Xジャンプ”になってたよ(笑)。
 
●ブリッジVTRのクオリティは素晴らしかったです。
中野:ありがとうございます。すごいスタッフの方が集まってくれたんですけど、「財運フレンドシップパートナーズ」なんて、実はほんと何も思いつかなくて。アドリブが多いんですよ。これはやばいな、と。でも、“やばいと思ってるのを悟られたらやばい”と思って、“全部、頭に入ってるんで”みたいな感じでやってました。
橋本:私は何もできてないのを知ってるので、怖くて。なのにカメラが回ったらどんどんセリフを言うんですよ。“セリフなんてないのに、なんでこんなこと言ってるんだろう”とか、“怖い怖い”“幸せ水とか聞いてない!”って怖かったー。
中野:スランプですね、完全に。常にスランプなんですが、今回は特にプレッシャーとかもあったので。いろんな人に動いてもらったんですけど、そうすると逆に出ない、みたいな。ただ苦しんだ分、いいのが生まれました。
橋本:スタッフさんは大変だったと思います。そんな中であの映像を撮ってくださるんだから、本当に助けてもらいました。
中野:ただアドリブで味をしめちゃったら、ネタ作りをしなくなっちゃうので、もっと原点に戻って、型通りににやらないとって思ってます。
橋本:型があってのアドリブだったらいいんですけど、アドリブだけだと二度と同じことができないですから。やっぱりちゃんとした作品を見せて、お客さんに楽しんでもらうのが一番いいですね。
中野:古典にしたいですね、演目みたいな感じで。本当は、間とかも同じタイミングでできるように。ちゃんと練習して、もう1回ちゃんとそこに帰るっていうことをやりたいです。
 
●逆に朱美ちゃんのPVはとても作りこんだものでしたね。何度でも観たいです。
中野:あれいいですよね。“朱美ちゃんと細貝さんから卒業したい”って思ってたんですけど、今は朱美ちゃんにマネキンの価値があるんじゃないかと思って。ピーチ・ジョンの下着モデルを狙ってるんですよ。
橋本:私は白の全身タイツ着てるので一切肌出してないし、自分じゃないので、何でも着れます、もう。
中野:『装苑』に載るとか。
橋本:彼女はデザインとか好きでいろいろやってくれるので。
中野:楽しいので勝手にやってて。今度また衣装を作りに行くんですけど、需要がなくなってもやり続けるというか、モデルとして独り立ちしてもらおうと。
橋本:私もやってて楽しいです。自分とは別人というか、普段できない格好ができるので。自分では下着でも水着でも人前を歩けないし、自分ではできないことができてしまう。
中野:お客さんにも朱美ちゃんファンがいたり、そういう部分を楽しみにしてくれてるところがあって、ツアーの撮影タイムにすごくいいカメラ持ってきてる人いて、あれ一眼だよね? お客さんが、一番いい朱美ちゃんと細貝さんを撮りたいんだろうなと。
橋本:私もそれに応えたいです(笑)。
 
●ツアー後には燃え尽きませんでしたか?
中野:いやむしろ、次のことを考えてしまうというか、各公演にノートを持っていって、次の案を書いたり。
橋本:それがすごい。最後の打ち上げでスタッフさんたちが“寂しい”って言ってくれたので、“私たちも寂しいよねえ”って言ったら、“いや、もう次のネタがどんどん溢れてて”みたいな。
中野:始まると、スランプって言い訳して何にもできなくなっちゃうんですけど、終わるとスランプ抜けるんですよね。打ち上げは、私たちひとつも飲めないんですけど、スタッフさんたちがほとんど酔っぱらって、何言ってるかわからなかった(笑)。
橋本:“ハムスター飼いたい”って言ったら、“橋本さんはハムスターみたいな男を飼えばいいんだよ~”って、普段、寡黙な照明さんが(笑)。
中野:普段はカッコいい職人さんなんですよ。最初は怒られるんじゃないかってくらい怖い感じだと思ってたんですけど。
橋本:でもそのおかげで、ひとつのチームができた感じがして、“次もやりたい”って言ってくださって。いいチームでした。
中野:打ち上げはスタッフさんのためのものなので。みなさん、私たちより疲れてるのに早くから設営とかしてくださって、遅くまで飲んで、次の日はウソみたいに私たちより早く現場に入ってくれて。
橋本:おいしいお酒飲んでくれたら嬉しいです。
 
●日本エレキテル連合のDVDでは、ライブでは気づかないような、ふたりの細かいこだわりまでしっかり観ることができるのも特徴ですね。
中野:今回は「死電区間」を表現するにあたって、今までのディテールの作り方と違うというか、メイクがまず違うのと、目の色も違うっていう。“この世とあの世の狭間”を表現するメイクです。私たち、普段は、顔をワーッと描くイメージなんですけど、普段とは違う、その辺の気持ち悪さっていうもの観てもらいたいです。
橋本:毎回新しい発見があるようにしているので、わからないところがあったら何度でも観てほしいです。
 
●最後に読者にメッセージをお願いします。
中野:私たちが2014年にとんでもない状況になって、そこで苦悩したりしながら、次に行くステップのためにどうしてもやらなければならない舞台だったので、今の自分たちのメンタルとか、その時の自分たちのメンタルでしか作れないものをやりました。今後絶対に見られない舞台ですし、このDVDでしか観られない演技をしているので、ぜひ観てください 。
橋本:すごく自信作です。みんなで作った、照明だったり、音であったり、お客さんの声であったり、全部ひっくるめて1個の作品になってますので、何も考えずに楽しんでもらいたいです。
 

 
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