「キングオブコント2016」で一躍脚光を浴びただーりんず。それぞれ芸歴を重ねた上で新たにコンビを組んだ2人が、背水の陣という思いで作り上げたのは、芸歴とともに重ねた年を十二分に活かした珠玉のコントたち。どこにでもいるおじさんの悲哀や切なさを研ぎに研いてさりげない日常に紛れ込ませてコントに仕上げて爆笑をかっさらう。ぜひ家族で見て欲しい。あのネタ以外は……。

 

 
●「キングオブコント2016」で初めて決勝に進出しましたが、現在仕事の充実度はどのくらいでしょうか?
小田祐一郎(以下、小田):金銭面で言うと前よりちょっとだけ苦しくなってます(笑)。決勝に行かせてもらったおかげで、これまでにまったくなかったような仕事がちょこちょこ増えたんですが、正直まだバイトを辞められるほどではなくて。けどバイトを休まなければならないことも多いので、金銭面で言うとちょっと苦しいなってことも。これが“明ける前の闇が一番深い”っていう状態だと思いたいですけどね(笑)。ただ精神面は、今までやったことない仕事をやらせてもらったり、今までお会いしたことがない人とお会いできたり、そういう意味ではすごく充実してます。
松本りんす(以下、松本):僕もそうですね。金銭面はそれほど変わらないんですけど、やっと水面下からちょっと顔を出せたなと。まったく連絡とってなかった友達から連絡きたり。ただ久々に連絡来た女の子たちがみんな結婚してて、もうね、月日は長かったんだなと(笑)。
小田:仕事で御挨拶に行くときに、芸人さんたちは必ずと言っていいほど僕らのことを知ってくださってて。そんなことは今までなかったので、めちゃくちゃありがたいです。
松本:ナイツさんも初めてお会いしたときに、「キングオブコントお疲れ様でした」くらいから会話が始まったんですよ。
小田:「キングオブコント」ってすごいんだなと。
 
●芸歴は長いですが、結成してからの成果は早いのでは?
小田:結局のところは芸歴なので、めちゃくちゃ苦労したなって感覚がお互いあるんです。けど、たまに結成歴のことを言われるので、そのときよく言うのは、「結成してからの階段の登り方はニューヨークと一緒くらいだぞ」って(笑)。
 
●もっと早くコンビを組みたかったですか?
小田:多分、ないですね。
松本:そうですねえ。お互いの前のコンビも十分知ってますし、何なら僕の前のコンビのネタをこいつが見て、あーだこーだって言ってくれてたときもありましたし、お互いピンになって、ピン同士のネタ会もしたことあるし。
小田:お互いをほぼ知り尽くした状態で組んだからこその今だったかなと思います。20代に組んでたらもう、すぐケンカしてますね。
松本:情報ゼロでこいつと組んでたらすぐ解散してますね。4、5年友人関係を経た上でっていうのは大きいと思います。
小田:お互い年なので背水の陣という感じが半端ないんですよ。そこでケンカしてる時間がもったいないというのもあります。
 
●背水の陣で臨んでいるネタ作りはいつも順調ですか?
松本:売れてる人に聞くと、ネタ作りが調子いいと出来上がる時間も早くなるっていうんですけど、そんなことはないです(笑)。
小田:歴代のファイナリストの中でも、僕らはネタを作るスピードが一番遅いんじゃないですかね。ずっと変わらないんですよ。
松本:ずっと同じ時間はかかってるんですけど、まあネタの質がよくなってきたのかもしれませんね。
 
●ターニングポイントとなったネタは?
小田:これはもう決定的にありまして。3本目に入ってる「面接」が相当ターニングポイントですね。
松本:去年「SMAホープ大賞」で優勝したんですよ。
小田:その年に一番面白いネタを決めるライブだったので、なんかこれがコツを掴んだかなって。今でも好きですしね、下手したら一番好きかもしれないですね、いまだにこのネタが。
 
●ネタができた段階で手応えがあったのか、それともお客さんの反応で手応えを感じたんでしょうか。
小田:作った段階で僕は手応えありました。「あれ、これよさそうだな」って。
松本:僕は台本と口合わせの段階ではまだ不安で。「フルコース」っていう新ネタライブがあるんですけど、そこで1位だったんです。やったときに「ああ、ウケる」って思いましたね。
 
●このネタはそれまでと何かを変えたんですか?
小田:どうなのかなあ。厳密に言うと「面接」より、6つめに入ってる「落語」を先に作っていて。この設定がちょっとわかりづらいんですけど、でも今の僕らのネタの根幹にある“被害者と悪意なき加害者”みたいなものが、この「落語」のときにできて。その成功例を踏まえた上で「面接」はさらに設定もよかったっていう感じですね。
松本:確かに、関係性の面白さは「面接」や「落語」あたりでできた感じですね。
小田:僕らのネタって、言っちゃえば全部“おじさんが困ってるネタ”なので(笑)。
松本:もう学生のコントとかもうできませんからねえ。
小田:おじさん役がしっくりきます。
松本:学生服着てコントしたら、「AVだよお前!」って周りから散々イジられました。
 
●今回のDVDに収録するネタのチョイスはどのような話し合いがありましたか?
小田:たくさんの中から選ぶという作業でもなかったんです。僕らそんなにたくさんネタがなくて、ベストなほうから選んでいったらこれになりました。ただせっかくなので、ウケ具合じゃなくて、思い入れの強いネタも選んでみようかと。「エージェント」とか。
松本:これね、覚えてるわあ。初めて舞台で披露したときにウソみたいにウケたんですよ。「このネタならいける!」っ思ったんですが、よくよく考えたら客席にうちのおかんとか親戚めっちゃいてたんですよ。周りもつられて笑ってただけみたいな。
小田:僕はあの役をやるのが大好きなんで。
松本:最初すごい渋い声だして(笑)。
小田:なのでこれは思い入れ重視で入れましたね。
 
●それぞれ自分のキャラで気に入ってるものを教えてください。
小田:僕は役で言うと「復讐」とか。
松本:あれ最初はもっと登場人物がいましたからね。「みんなー来―い!」とか、こいつが影で言ってて。全然ウケなかったですけどね(笑)。
小田:ただ尺に入らなくて。いろいろ試行錯誤して、まあまあの形かなって。借金のくだりとか大好きですね。「クズだなー」と思いながらやってます。
松本:僕はやっぱり「結婚前夜」の親父。一番思い入れありますね。最初の長台詞も「これは言っとかなきゃダメだ」「あれは言っとかなきゃダメだ」とか計算して、そのうえで削って削って聞きやすい尺にして、で、ポンって最初ウケたときには本当にうれしかったんですけど、「キングオブコント」のときはビックリしましたね……。
小田:客席から「キャッ!」って声がね(笑)。
松本:特典映像には初披露バージョンも入ってるんですが、より下ネタ感が強いです。
 
●タイトルにも入ってる“カツラ”は伊集院光さんからの提案だそうですが、2人の人生を変えましたか?
小田:ははははは!
松本:いやーそうですね。ラッキーアイテムです。伊集院さんてほんとにそういうところにもすごく目が利くんですね。
小田:ありがたい話です。ハゲを隠すためにカツラをつけようなんて発想はなかったですからね。
松本:ハゲを気にして生きてたころと比べたらもう。こうやってみたら絵面もきれいですし、見た目はよくなりましたよね。
 
●もし“カツラの神様”が目の前に現れたら?
松本:それはもう「ありがとうございます」と。
小田:まずお礼を言うやろ、そのあと“髪の毛の神様”出てきたら胸ぐらつかむやろ。
松本:ははははは!
小田:見た目って意外と重要だったのかなって思いますし、あとトークでカツラ関係の話を振られることも多くて、それで助かってます。意外とカツラ関係ってライバルがいないので、笑いのハードルがめちゃくちゃ低くて楽ですね(笑)。ハゲはいろんなハゲボケをみんなやってきたので、どんどんレベルが高くなってますけど、カツラはまだ大丈夫。
松本:「カツラonカツラ」とか「重ね着」とか、いろいろ面白くやらせてもらってます。
 
●2017年の目標は、カツラを維持するためにも「キングオブコント」優勝でしょうか。
小田:面白いもんでこれがまたいろんな展開があるかもしれなくて。
松本:いろんな企画の話が。
小田:カツラだけじゃない何かが。
松本:頭皮に関するアドバイザーとして生きていきたいですね。ハゲてる人を集めて、どうしたいかとか。
小田:このDVDで彼の頭皮の歴史を見ておくとより笑えます。ぜひ見てほしいですね。
松本:ほんとにそうですよ。今後は僕が出てきただけで爆笑になる可能性もありますから。「あっれー!」って(笑)。
 
●最後に読者にメッセージをお願いします。
小田:ベストネタ9本入ってますけど、8本目までは御家族で見れるネタとなっております。9本目からはお一人で見ていただくことになりますが。ぜひ家族で見てください! よろしくお願いします。
松本:じゃあ僕は特典映像で言うならば、ピンネタもいろいろありますし、ボツネタのコーナーもあります。「騎馬戦」というネタは、僕がカツラになる前のハゲが見れますので、ぜひ見てください!
 

 
 
『だーりんずベストネタ集「カツライブ」』詳細ページは こちら