あばれる君が演じるキャラクターは、みんな必死で、一生懸命生きている。例え一生懸命を向ける方向が、間違っていても……。『あばれる君です よろしくお願いします。』を観ると、気持ちよく笑った後に、胸を打つ何かが心に残っていることに、きっと気づくだろう。

 
●あばれる君にとって1枚目となるDVD『あばれる君です よろしくお願いします。』は過去のベストコント14本を収録していますが、どれもすごく笑えるのに、不思議ともの悲しさが漂っていますよね。
○確かに、「くだらないことに頑張る」「頑張っているけど、悲しい」というところを意識しています。
 
●みんな、斜め上の方向に頑張ってしまう、というか。
○そうなんです。登場人物が全員、バカなので(笑)。
 
●なんで、そういう人が好きなんですか?
○小学生の頃に、ダンスのテストがあったんです。僕のクラスメイトが、振り付けを覚えていないままテストを受けに来て。体育の先生は、それを知ったらもちろん怒るじゃないですか。そいつは怒られるのを怖がって、アドリブで踊り出したんですよ。その姿に、めっちゃ笑っちゃったんですよね。そこで、「間違った方向に頑張ることは面白い」と気づいたんじゃないかな。
 
●そのテストを、彼は乗り切れたんですか?
○乗り切れたんですよ、それが。
 
●でもあばれる君のキャラたちは、みんな問題を乗り切れてませんよね。
○乗り切ってないですね(笑)。でも無理やり乗り切ろうとする、その様が好きなんです。ストーリー性のあるコントが好きだ、というのもありますし。キャラクターに物語がある、というか。
 
●確かにこのDVDに出てくるキャラクターは、みんな日常が見える気がします。「普段、こんなことして過ごしているんだろうな」という光景が。
○全員、細かいところまでキャラを決めていますから。細かく決めたほうが、振り幅ができてコントを作りやすくなるんですよね。でも、このDVDのコントのキャラは、同一人物にしてもいいかも。喫茶店やそば屋でバイトして、一時期は小説家を目指して、最後は露出狂になって、当たり屋になるという。
 
●途中まではマジメにバイトしていたはずなのに、どこかで急カーブしている人生ですね。
○ホントですね、何が起きたんだろう(笑)。
 
●細かい設定は、どんなところまで決まっているんですか?
○例えば「高校野球〜最後の夏〜」は、とある事情で甲子園へ行けなかった野球部監督のコントですが、この監督は過去に一度、甲子園に行っています。県予選を勝ち進んだわけじゃなく、“21世紀枠”で行けたんですが。そして本人はベンチにも入れず、スタンドから応援する部員でした。
 
●彼の裏側まで見えますね。ちなみに、自分と一番似ているキャラは誰ですか?
○「店長こだわりのグラタン」のバイトです。これ、実際にあった話を元にしてるんですよ。僕は一時期、たこ焼き屋でバイトしていたんですが、「ちょっと買い物してくるので、その間に焼いておいてください」と頼んだお客さんがいて。その人が帰ってきた時、店長が注文を忘れていて、まだ焼いてなかったんです。僕はお客さんに謝りながら、「まだですか!?」と店長を急かしました。最終的に「これがうちのソースです」と、小皿に移したソースをなめながら待っていてもらいました(笑)。なんとか時間を稼ごうとして。
 
●まさか、実話が元だったとは……。バイト経験は多いんですか?
○はい。引っ越し業、たこ焼き屋、居酒屋、キャッチ……。特に居酒屋は何店か経験しています。バイト経験は、ネタに活かされますよ。たくさんの他人と接するから、いろんな価値観が入って来ますし。むしろバイトしないと、ネタはできない気がします。
 
●基本的にネタは、どういう形で考えているんですか?
○まず、人間が困る場面を考えます。追い込まれて、それをどう打開するか、そこから始まります。そして、無様なところを隠さず出すようにしてますね。
 
●どのキャラクターにも「無様だけど頑張る」という一本の芯が通っていますが。バリエーションが豊富なので、飽きずに観られますね。
○ホントですか? ネタを選ぶ時に、そこはかなり気をつけたんです。いろんなパターンのネタを並べて、50分楽しく見られるようにって。
 
●この14本の中で、一番好きなネタは?
○トップバッターの「店長こだわりのグラタン」です。お客さんにはしっかり対応しているのに、人から見えない厨房では店長とケンカする、この日本人の美徳。「注文したものが来ない」というネタの入口は、誰でも共感できる気がしますし。これはライブでも一番やっただけに、無駄が削られてギュッと凝縮されています。それとこのネタで、番組の大会で優勝したことがあるんです。それもあって、好きなネタです。
 
●あばれる君の中で、「人間のこんなところを描きたい」というビジョンはありますか?
○諦めない姿ですね。「もう無理だよ」と言われても、その一歩先まであがくところを描きたい。悪いことをしているのに「絶対謝らないよなぁ」というヤツ、小学生の頃にいたじゃないですか。その大人バージョンですね。あとは、人間の裏側です。例えば高校野球って、普通は爽やかじゃないですか。でも僕が演じた監督がもし実際にいたら、一気にゲスな話になる。そういう裏側というか、ちょっと角度を変えたところを描きたいんです。
 
●そして思わず見てしまうのが、ステージで光る汗!
○もともと汗かきなんですよ。小学生の頃から、ずっと。でもサウナだと、そんなに出ないんですよね。緊張すると、汗をかくんです。先輩の楽屋へ挨拶に行くだけで、流れることもありますから(笑)。
 
●タイトルとジャケットは、そのまま名刺代わりになりそうですね。
○はい、それをイメージして作りました。このDVDを「あばれる君です、よろしくお願いします」とそのまま渡せるように。
 
●本作での注目ポイントは?
○どのネタでも細かいボケや言葉遊びがちょっと入っているので、その辺を探しながら観るのも楽しいと思います。
 
●どんな人に観てもらいたいですか?
○老若男女、たくさんの人に観てもらいたいですが、特に元気のない新入社員やサラリーマンに。このDVDを観て、「ここまで諦めないヤツがいるんだ!」と、元気になってもらいたいですね。「失敗してもこういうヤツがいるんだ、俺のほうがまだマシじゃん」と励まされてほしい。そして若い世代の人は、もし悩んでいたり、「明日、学校へ行くのイヤだな」なんて思っていたら、これを観て強い心、折れない心を持ってほしいです。
 
●確かにどのキャラも、心折れませんもんね。あばれる君も、折れたことないんですか?
○いやいや、何度もありますよ! だからこそ、理想の自分を投影しているのかもしれないです。……あれっ、このキャラ、僕の理想なの?(笑)
 
●実際、DVDを観て元気になる人、多そうです。
○たまにサラリーマンからのファンレターで「あばれる君のネタを見て、元気になりました」と言われたりするんですよ。本当に嬉しいですね。
 
●それではあばれる君から、読者の皆さんへメッセージを。
○コンテンツリーグからDVDを出させていただけるのは、非常に光栄です。ここからDVDを出せるかは、若手芸人のバロメーターというか登龍門というか、売れた先輩たちが絶対に通ってきた道ですからね。そこへ仲間入りできたことに、感動しています。そして、コンテンツリーグ・ファンの皆さんを絶対に満足させる内容になっていますので、ぜひ観てください。

 
 
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